胡蝶蘭は贈り物として非常に人気の高い品種です。
一方で、長く胡蝶蘭を育てたい場合、気になってくるのが植え替えの問題です。
この記事では、胡蝶蘭の植え替え時期や植え替え後の管理、植え込み材の内容などを詳しく解説していきます。
あまり管理やお世話を必要としないとされ人気がある胡蝶蘭でも、二年に一回は植え込み材の植え替えを行うことが必要です。
植え替え後、細かくどんなお世話をすればいいのか分からない方に向けて、植え替え方法と植え替え後の様子の見方についてお伝えしていきます。
目次
胡蝶蘭の植え替え後の三つの注意点
胡蝶蘭に限らず、花の植え替え後に注意したいのは、株が非常に弱った状態になってしまうことです。
植え替えは胡蝶蘭が成長した環境が大きく変わり、それだけ株に負担がかかってしまいます。
植え替え時の注意や、その後の管理を誤ると株が枯れてしまったり、病気や害虫が付く原因となったり、トラブルのもとになりかねません。
植え替え後の管理、手順を確認してから植え替えをすることが大切です。
- 植え替えの時期に注意する
- 植え込み材に注意する
- 鉢のサイズに注意する
以上の三つについて詳しく解説します。
植え替えの時期に注意する
胡蝶蘭の植え替えに適しているのは4月頃で、あまり早くても、遅くても問題が出てきます。
冬は株が弱った状態であることから植え替えに適さず、5~6月には胡蝶蘭が成長期を迎えるため、その前には植え替えを終わらせておく必要があるからです。
冬の寒さが和らぎ、暖かい日が増える春が植え替えの季節と言えます。
植え替えの時期が来たら早めに植え込み材や鉢を用意するか、ネット通販などで注文しておくくといいでしょう。
植え込み材に注意する
胡蝶蘭は主に水苔かバークで育てられますが、植え替えの際に植え込み材を変えることは基本的には避けましょう。
育った環境が大きく変わるほど株に対する負担が大きく、葉が枯れるなど植え替えの失敗につながりやすいからです。
水苔で育った胡蝶蘭は水苔に植え替え、バークで育った胡蝶蘭はバークに植え替えるのが基本になります。
鉢のサイズに注意する
胡蝶蘭は株数が多いほど見応えがありますが、大きな鉢で管理しようとすると困難を伴います。
栽培のための専門的なノウハウを持ったプロ以外は、4~5号の鉢に1株ずつ分けて植えかえることが一般的で、育った株も株分けをしていくことになります。
あまり大きな鉢を選んでしまうと植え込み材が水を吸い込みすぎ、根腐れの原因となるため避けましょう。
鉢が小さすぎても根が十分に育つことができないことになるため、小さすぎる鉢も避けましょう。
鉢の素材はプラなどでもよく、根腐れを防ぐため、水はけがよい鉢を選ぶことをおすすめします。
胡蝶蘭の植え替えのタイミング
商品として購入した胡蝶蘭や、贈答品としていただいた胡蝶蘭は、花が終わって春になったタイミングが植え替え時期です。
病気になった際も植え替えが必要になるケースがあります。
また、しっかりと成長している胡蝶蘭も2年に一度は植え替えのタイミングとなり、株がしっかりと成長している場合は株分けをしつつ、植え替えを行いましょう。
4月頃に植え替えることがよいとされているのは、5~6月頃には株が成長を始めるため、花茎や花の数に影響が出てくるためです。
茎の成長や増える葉の数にも影響を与えるため、植え替えのタイミングは重要になります。
植え替えの手順
水苔で育てていた場合も、バークで育てていた時も、清潔な手、ハサミで作業ができる準備をしておきましょう。
ハサミは消毒し、雑菌などが付かないような状態にしておきます。
株を鉢から取り出すと植え込み材と絡み合った状態で出てくるため、余分なものは落としておきましょう。
特に水苔で育てていた場合は、黒ずんでいたり傷んでいる水苔はハサミで切るなどしっかりと落として植え替えることが重要です。
弾力があり、元気な水苔であれば問題はないものの、傷んだ水苔を付けたままではカビや病気の原因となりやすいことがあるため注意が必要です。
株が綺麗になったら、水に浸したバークや水苔で、胡蝶蘭の株を包み込むようにして植え替えを行います。
植え替えの時の注意点について、詳しくは以下のページでご覧ください。
胡蝶蘭の植え替え後によくある質問
胡蝶蘭の植え替えで気を付けることなどは、以下のページにまとめています。
植え替え後は実際に植え替えがうまくいったか、何か問題は出ないかが気になってしまうものです。
綺麗に胡蝶蘭を咲かせるために、植え替え後に関するよくある質問に答えていきます。
植え替え後、葉に元気がない場合はどうしたらいい?
葉が一枚、黄色くなる程度の場合は問題ありません。
胡蝶蘭は環境の変化に敏感で、成長に必要な養分を確保したり、株を守るために葉を選んで捨てるといったことを行うからです。
無理に切り落としたりせずに、自然と葉が落ちるのを待てば問題ありません。
ただし、葉が黄色くなるだけでなく、水にぬれたような斑点が出てきた場合は病気に感染している可能性があります。
軟腐病(なんぷびょう)と言われる病気は強い臭いがあることが特徴で、周囲の胡蝶蘭に感染する恐れがあります。
治すことが難しく、高温多湿の状況だと周囲の感染が早いという特徴があり、病気にかかった胡蝶蘭は処分する必要があるでしょう。
葉の先端が黒くなってしまった場合、黒い斑点が広がるなど、全体に影響がある場合はカビなどが発生している恐れがあるため、薬剤などで消毒が必要になる場合があります。
葉がしわしわになるなど、元気がなさそうな場合は水不足を疑いましょう。
また、水を十分にやっているのに葉につやがない場合は根腐れが疑われます。
水不足が疑われる場合は水をあげ、根腐れが疑われる場合はしばらく様子を見ることが基本です。
様子がおかしいからと再度植え替えを行えば、状況が悪化する可能性があるため注意して観察してください。
植え替え後の水やりの頻度は?
植え替え後、2週間ほどは水やりは様子を見た方がよいとされています。
株の状態によっては水分の与えすぎになり、根腐れの原因となってしまうからです。
土や水苔の状況を確認し、1週間ほどして乾燥してきたら、株が水をしっかりと吸い込んでいる証拠です。
乾燥が遅い場合は水やりは控え、朝晩葉に霧吹きなどで水を与える程度に留めましょう。
土や水苔の表面が乾燥し、鉢の底が湿った状態になったら、コップ一杯(200ml程度)の水を目安に与える程度が基本です。
水苔がカラカラに乾いてしまった場合は、水の吸収能力を取り戻すために時間がかかるため、コップ2~3杯の水を上げ、時間をおいてまた水をあげると吸水力を取り戻すでしょう。
鉢ごと水につける方法もありますが、長時間つけたままにしないこと、水から上げたら余分な水分が鉢から落ちるのを待って、通気が良いところに置くなど工夫をすることが大切です。
株の状態によって水を与えるべき頻度が変わってくるため、こまめに土や苔の状態を観察し、しっかり適量の水を与えることが重要になります。
植え替え後の置き場所は?
胡蝶蘭は直射日光に弱く、直射日光に晒され続けると葉が日焼けする原因となります。
直射日光に当たらない、明るい場所に置くのが良く、カーテン越しに日が当たる場所などが最適な置き場所です。
また、湿度が高すぎると病気の原因となるため、通気がしっかりしている場所の方がおすすめです。
適度な湿気はあって問題がないものの、風通しが悪いところではカビや病気が繁殖しやすくなってしまいます。
エアコンやサーキュレーターの直接風が当たる場所も避け、穏やかな環境で育てることを心がけましょう。
屋外でも育てることはできますが、直射日光と、直接雨が当たる場所を避けることが基本になります。
直射日光が当たらず、風通しがよいところであれば35℃程度は耐えるといわれていますが、可能な限り目が集く範囲で、常に状態を確認できる場所に置いて育てた方が害虫などの被害にもあいにくく安心です。
植え替え後に肥料は与えた方がいい?
植え替えから一ヶ月程度は肥料を避けることが基本です。
過度な水やりを控えるのと同じく、肥料を与えることで胡蝶蘭に悪影響を与えてしまうことがあります。
もともと胡蝶蘭はあまり肥料を必要としないため、肥料を使う場合も1000倍から5000倍ほど水に薄めることが大切です。
薄めずに肥料を与えてしまうと枯れてしまう原因となるため注意が必要です。
まとめ
胡蝶蘭は見栄えが良く、大きな花をつけて欲しいと植え替え後についつい水や肥料を上げすぎてしまう人が多くいます。
しかし、植え替え後に過剰な水やりや肥料を与えてしまうと、かえって悪影響を及ぼす可能性があります。
2年、3年と花をつけ続けさせるには、植え替え後はしばらく様子を見つつ、一株一株の状況に合わせて管理することが大切です。
伸び伸びと成長し、花を咲かせた姿を見たい場合は、植え替え後の管理や、手入れの基本を守りましょう。