胡蝶蘭の栽培方法として、鉢植えを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
鉢植え以外にも実はいろいろな方法があり、「苔玉胡蝶蘭」が近年人気を集めています。
胡蝶蘭との相性が良く、日本の美を感じさせる控えめな雰囲気が好まれる理由のひとつです。
吊るしたりさまざまなデザインの小皿に並べたりとインテリアに彩を添えて、いろいろな楽しみ方ができますよ。
今回は、胡蝶蘭を苔玉で育てるための作り方や育て方のコツをご紹介いたします。
目次
胡蝶蘭は苔玉にして育てることもできる!
胡蝶蘭は苔玉にして果たしてうまく育てることができるのか、と疑問をお持ちの方も多いと思います。
苔玉とはどんな技法なのかというと、盆栽の世界の「根洗い」から生まれました。
盆栽を鉢から取り出し、根の張った土を粘性の高い土で包んで苔で覆うというものです。
根を土や苔で覆うことによって、根が張りやすくなります。
苔は日光が苦手であるため、ある程度耐陰性のある植物が向いているのです。
日光が届きにくいながらも明るい室内で育つ胡蝶蘭は、苔玉に向く植物に該当すると言えます。
難しそうと思われるかもしれませんが、材料は植物・土・苔・糸とシンプルで手に入れやすく、手順とコツを抑えれば、初心者にも挑戦しやすい方法です。
【苔玉胡蝶蘭】用意するもの
それでは苔玉胡蝶蘭をつくるためにに用意するものをご紹介いたします。
必要な材料は、以下の通りです。
・胡蝶蘭
・ケト土
・赤玉土
・苔
・糸(絹糸、木綿糸、ナイロン糸)
それでは詳しくひとつひとつ見ていきましょう。
土
土はケト土と赤玉土を混ぜ合わせて使用するため、2種類必要です。
ホームセンターだけでなく、100円ショップでも販売されています。
手軽に材料を揃えたい方には、苔玉をつくるために混ぜ合わせてある商品が販売されているので、探してみると良いでしょう。
苔
苔にはいろいろな種類があり、苔玉に向いているものとそうではないものがあります。
特におすすめなのが「ハイゴケ」という種類です。
地を這うように広がっていき、よく貼りついてくれるので、丈夫で色鮮やかな仕上がりになりやすいでしょう。
ハイゴケの他には「シノブゴケ」「ツヤゴケ」もあります。
シノブゴケはハイゴケに比べると成長の速度がゆるやかなので、早く育てたいという方には向いていないかもしれません。
苔の種類によって見た目も変わりますので、好みに合わせて選ぶと良いでしょう。
ホームセンターで売っているので見てみてくださいね。
糸(絹、木綿、ナイロンなど)
糸の種類には苔玉専用のものがありますが、手に入りにくいときには手芸用や釣り具の糸を使うのもひとつの手です。
時間が経過するうちに溶けてなくなる絹糸や木綿糸と、なくならないナイロンの糸があります。
溶ける糸を使うと仕上がりが自然になりきれいに見えるので、見た目にこだわる方にはおすすめです。
その一方で形が崩れるなどの心配もあるので、初心者は溶けない糸を選んだ方が無難といえます。
苔玉胡蝶蘭の作り方
用意するものが揃ったら、さっそく苔玉作りに入っていきましょう。
1.土をよくこねる
ケト土と赤玉土を7:3の割合で混ぜ合わせます。
ビニール袋を使用して混ぜ合わせると混ぜやすいです。
少しずつお水を加えて、赤玉土の粒がつぶれるように混ぜ合わせて、目安として耳たぶくらいのやわらかさを意識しましょう。
2.胡蝶蘭を優しく包む
胡蝶蘭を包むときのポイントとして、力を入れすぎずやさしくおにぎりを握っているような感覚で、力をかけすぎないことが大切です。
最初に苔玉用の土を丸く握って、指でくぼみをつけて、その中に胡蝶蘭を包み込むように丸く整えるとやりやすいでしょう。
3.苔を貼り、系で巻きつける
土で胡蝶蘭を包んだあとは、水でしめらせた苔を貼ってカバーしていきます。
水苔を使用するときにはあらかじめ水で戻しておきましょう。
崩れないようにまんべんなく貼って、最後に糸を巻いて固定します。
糸の巻き付け方として、最初にX字に巻き付けてからずらしながら15周ほど巻くと良いです。
少しきつめに巻いた方が崩れにくく良いので、ご自身で調整しながら加減しましょう。
4.苔玉を給水させて完成!
苔玉を巻き付け終わったら完成です。水を張った容器に沈ませてお水を含ませてから飾りましょう。
苔玉胡蝶蘭の育て方・管理方法
苔玉胡蝶蘭を上手に育てるための育て方や管理方法にも触れていきましょう。
置き場所、水やり、肥料の与え方に注意して、胡蝶蘭にとって居心地の良い環境を整える
方法をご紹介します。
置き場所
苔玉胡蝶蘭の置き場所には直射日光を苦手とする苔の性質を考慮して、風通しが良く日当たりの良い日陰を選ぶことを推奨します。
ときどき窓を開けて換気をするなど、風通し良く工夫するのも大事です。
同じ面を日光に当てると日が当たらない面と色が違ってくるので、時々鉢の向きを変えてあげましょう。
水やり
苔玉の水やりは、季節や乾き具合を見ながら目安として、3~4日に1度行います。
苔玉の表面が乾いてきたな、と思ったら水を張った容器に沈めて、5~10分ほど浸して給水させると良いです。
水に入れるとぷくぷくと気泡が出てきますが、水を吸いきると気泡が出なくなります。
給水前と給水後の苔玉の重みをしっかり手の感覚で覚えておきましょう。
受け皿に置いたときに溜まった水は必ず捨てて溜まったままにしないようにしてください。
苔玉に霧吹きをかけたり葉水をしたり、湿度をある程度保ってあげると元気に育ちます。
肥料
肥料は固形肥料を与えることは難しいため、普段の水やりに液肥を薄めて吸わせてあげましょう。
液肥を薄める濃度ですが、定められた量よりも薄めにしておいた方が安心です。
胡蝶蘭はあまり肥料を多く必要としない植物ですので、冬場は控えて春~夏に月に1度くらいのペースで与えると覚えておきましょう。
【苔玉胡蝶蘭】よくあるトラブルと対処法
初心者にも挑戦しやすい苔玉胡蝶蘭ですが、長期間美しい形をとどめて維持管理するためにはコツやこまやかさが必要とされます。
育てている苔玉胡蝶蘭を枯れさせないためによくあるトラブルや方法もご紹介いたします。
カビが生えてしまった
高温多湿になりやすい梅雨は特に発生しやすいトラブルです。
水の与えすぎによってもカビが発生しやすくなります。
カビが生えてしまったときには水やりを中止して、ベランダなど日当たりの良い場所で乾燥させましょう。
木酢液を薄め、ガーゼなどに吸わせてカビをふき取ることが得策です。
カビが酷いときには、殺虫剤と併用することもおすすめします。
苔玉が茶色くなってしまった
水のやりすぎ、空気の乾燥、光が強いときに苔玉が変色して茶色くなることがあります。
そんなときは、水やりの頻度を抑える、湿度環境を整える、日差しを和らげる対策が必要です。
茶色くなり苔が枯れたように見えても、苔は強い植物なので、春になれば新芽が出て緑を取り戻します。
乾燥しすぎると休眠してしまう原因にもなるので、適切に水やりを行いましょう。
まとめ
胡蝶蘭を苔玉で育てるためにつくり方や育て方のコツをご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
用意するのは、胡蝶蘭、ケト土、赤玉土、苔、糸だけです。
豪華な印象の胡蝶蘭を苔玉と組み合わせることにより、落ち着きのある空間づくりが完成させられます。
つくり方や育て方は難しそうに見えて、コツをつかめば意外と簡単なので、つくってみようと思っていただけると嬉しいです。
ご自宅のみならず、オフィスに置いたり自分なりの楽しみ方を見つけてくださいね。