胡蝶蘭の葉は健康のバロメーターです。緑色でぷっくりとしているのが健康な胡蝶蘭の証拠ですが、胡蝶蘭は少しの変化でも葉が黒くなってしまったり、黄色くなってしまったりすることがあります。
中には部分的に黒くなったり斑点になっていたりと症状もさまざまで、不安に思う方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、胡蝶蘭の葉が黒くなってしまったときの原因と解決方法をご紹介します。
目次
症状別にみる葉が黒くなる原因と処置方法
焼けたように葉が黒くなる
葉が黒くなってしまうのは、火傷と同じような症状です。日当たりが良すぎる、直射日光が当たる場所に置いている場合は、日陰に移すなどの処置をしてください。遮光ネットで直射日光を遮り、風通しを良くするのも有効です。
葉やけは、葉が黒くなる→乾燥する→茶色や白へと変わります。
通常は日陰やレース越しの柔らかい光が当たる場所であれば様子を見る程度で大丈夫ですが、葉全体が黒くなってしまった場合は、ベンレート水和剤などの葉焼け用の殺菌剤で殺菌しておきましょう。葉がほとんど黒くなってしまった場合は清潔なはさみで切ってしまいます。
黒や褐色の斑点ができている(炭疽病)
黒い斑点ができている場合は炭疽病を疑いましょう。炭疽病は、最初は小さな斑点が大きくなり、褐色の斑点の周りが黒くなります。
葉焼けなど胡蝶蘭が弱ってしまうと発病しやすくなるので、発病したら葉を清潔なはさみで切除して薬を塗りましょう。範囲が狭いのであれば斑点の周りを少し広めに切り取り、切り取った部分に薬剤を塗ります。ダイセンやダコニールなどの糸状菌に有効な薬を塗りましょう。
黒くなって葉がぶよぶよしてしまう(軟腐病や褐斑細菌病)
根っこが腐る軟腐病や褐斑細菌病の可能性があります。根っこを確認してみてください。ミズゴケが黒くなっていたり胡蝶蘭の根っこ自体が黒くしわしわになったりしていたら、直ちに植え替えをしましょう。
また軟腐病や褐斑細菌病は感染力がとても強いです。ほかの植物と隔離して、患部は大きめに切除し、消毒したはさみを使って処理をしましょう。使用したらまた消毒することを忘れないでください。
ミズゴケは素焼きの鉢、バークはプラスティックの鉢が相性良いので、植え込み材に合った鉢を選びましょう。
植え替えが終わったら、スターナ、ナレート、台所用塩素系殺菌剤を患部に塗ります。
胡蝶蘭の害虫とその対処法
胡蝶蘭は害虫にも注意が必要です。主な害虫としては、ハダニやカイガラムシが挙げられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
ハダニ
ハダニは胡蝶蘭の葉や花に被害を与えることがあります。ハダニが繁殖すると、葉に小さな黄色の斑点が現れ、葉が枯れたり落ちたりすることがあります。
対処法としては、まずは定期的な葉の確認が重要です。ハダニが繁殖すると、葉に小さな黄色の斑点が現れ、葉が枯れたり落ちたりすることがあります。葉裏をよく観察し、ハダニがいる場合は早期に駆除することが必要です。
カイガラムシ
ハダニ胡蝶蘭の他の害虫としては、カイガラムシも挙げられます。
カイガラムシは、胡蝶蘭の茎や葉に付着し、栄養を吸い取ることで被害を与えます。カイガラムシは、茎や葉が黄色く変色したり斑点がでたり、花の形成の妨げなどの被害があります。病気や害虫の早期発見によって適切な対策をとることができるので、定期的な検査や観察は忘れずに行いましょう。
葉が黒くなるのは環境の問題もある?
実は寒さによっても葉が黒くなることがあります。
冬に葉が黒くなってしまったら寒さからくる凍傷の可能性もあります。昼は暖かくても夜になると急に冷え込んでしまうことがあります。特に窓辺に置いている方は注意しましょう。
10度以下にならないように加温してあげてください。
凍傷と軟腐病、褐斑細菌病は最初区別がつきにくいです。
凍傷の場合、葉はそのままでもよいでしょう。春になって暖かくなったら、葉を処理するか様子を見てください。
凍傷に対してのただしい処置の仕方
- 加温をする
温かい部屋に持っていく
エアコンなどを使って部屋を暖める
発泡スチロールや段ボールなどで囲って布団をかぶせ、中に湯たんぽなどを入れる
- 乾燥気味に育てる
胡蝶蘭は乾かし気味に育てますが冬は特に水やりの頻度が低くなります。凍傷の可能性があるなら水やりは必要最低限にしてあげましょう。
凍傷の可能性があるなら温める、乾燥気味に育てるようにしてみてください。
胡蝶蘭を弱くする環境5選!これに気を付ければ病気知らず
胡蝶蘭にとって葉が黒くなってしまうのは、ウイルスによる原因がほとんどでした。胡蝶蘭には常在菌としてウイルスが存在していますが、弱ってしまうとウイルスの症状が出てしまいます。
胡蝶蘭にはウイルスが入っていても健康な状態なら病気の症状は出ません。
これは人間にも言えることで、栄養不足や寝不足が続いたら普段ひかない風邪にかかってしまいますよね。胡蝶蘭も一緒で、環境などによって弱ってしまうとウイルスが表面化しやすくなってしまいます。
ここでは、胡蝶蘭にとってしてはいけないことをまとめてみました。
- 頻度が高い水やり
- 直射日光に当てる
- 高すぎる温度、低すぎる温度
- 風通しが悪い場所
- 肥料のあげすぎ
以上のことに気を付けると胡蝶蘭が弱りにくくなります。
頻度が高い水やり
胡蝶蘭にとって水やりは頻度を少なめにあげます。植え込み材の表面が乾いたと思うタイミングで水をあげます。また、常温にした水をあげるようにしましょう。どちらかというと根っこは乾かし気味にあげても問題はありません。
水分不足が気になるようなら葉水を裏と表に霧吹きであげるようにします。
直射日光に当てる
胡蝶蘭は木陰で育つ植物なので強い光が好きではありません。夏場で60%、冬場で40%の遮光をしてあげる必要があります。
レースのカーテン越しの光や、明るい日陰に置いてください。
高すぎる温度、低すぎる温度
胡蝶蘭にとって温度は高すぎても低すぎても体調を崩します。
30度以下で18度以上の場所が適切です。冬は特に7度で凍傷になってしまいますので10度以下にしないように注意が必要です。
夏場は温度が上がりやすくなってしまいます。室内なら27度ほどを目安においてあげるようにしてくださいね。
風通しが悪い場所
胡蝶蘭は空気がよどんでいる場所はすきではありません。そよ風のような優しい風が吹く場所が好きです。空気がよどまないような風通しがいいリビングなどにおいてあげてください。
胡蝶蘭は、エアコンや扇風機のような直接的な風は嫌いです。息ができなくなるばかりでなく、胡蝶蘭にとって大切な空気中の湿度も乾かしてしまいます。置く場所に注意してあげましょう。
肥料のあげすぎ
胡蝶蘭は肥料をあげすぎると枯れてしまいます。花が咲き終わった春から夏にかけての成長期に、洋ラン用の肥料を1000から5000倍に薄めたものを水の代わりにあげるだけで十分です。場合によっては胡蝶蘭にとって肥料は必要ないときもあります。
栄養過多で腐らせてしまう原因になりますので、肥料のあげすぎには注意してください。
まとめ
胡蝶蘭の葉が黒くなる原因には、葉焼けや病気など、さまざまなものがありました。
胡蝶蘭は観察を怠ると、病気や害虫の早期発見ができず、対処が遅れる可能性があります。また、適切なケアが行われないと、栄養不足や水分不足などの問題が生じることもあります。胡蝶蘭は繊細でデリケートな植物であるため、注意深い観察と適切なケアが欠かせないため、定期的な施肥や水やり、病気や害虫の予防対策が必要です。
この記事を参考に、葉が黒くなっている原因を的確に判断して処置をしてあげた後は環境を整えてあげてくださいね。