胡蝶蘭の植え替えには水苔とバークどっちがおすすめ?

豪華で美しい姿から、贈り物にもよく利用される胡蝶蘭。

「植え替えには水苔、バークどっちがいいの!?」と悩んでいる方もいるでしょう。水苔とバークにはそれぞれに特徴があり、メリット・デメリットもあります。

ここでは水苔とバークのポイントを解説していきますので、胡蝶蘭を長持ちさせるための参考にしてみてください。

胡蝶蘭の植え替えには水苔かバークを使う

胡蝶蘭の鉢植えに、土が使われることはありません。土では水分が多すぎて根腐れを起こしてしまうからです。そのため、胡蝶蘭の植え替えには水苔もしくはバークを使います。土よりも通気性が良く、胡蝶蘭を元気に保つためにピッタリです。

しかし、両者にはそれぞれ特徴があります。例えば、水苔には素焼きの鉢、バークにはプラスチック製の鉢が適しています。

植え替えの前に、水苔とバーク、それぞれの特徴やメリット・デメリットをしっかり把握しておきましょう。

水苔ってどんなもの?

コケと聞くと、地面や岩の表面などに生えた緑色のものを思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、植え替えの材料として使用する水苔は、乾燥させて薄茶色になったものです。

圧縮されたブロック状で売られていることが多く、水を加えて柔らかくしてから使用します。水苔そのものには栄養がないので、植え替え後には植物に合わせて定期的に液肥を与えることが望ましいです。

排水性と保水性のバランスが良いため、初心者の方でも扱いやすいですよ。

水苔のメリットとデメリット

水苔は古くから胡蝶蘭の植え替え材料として利用されてきました。胡蝶蘭の他にも苔玉やハンギングバスケットなど、さまざまな形で活用できる材料です。

非常に軽く、扱うなかで手が泥だらけにならないのも嬉しいところ。その他にも、押さえておいてほしい水苔の特徴があります。そこで、ここでは水苔の特徴を3つご紹介します。

バーク栽培よりも花持ちがいいとされている

バークに比べると、水苔は非常に柔らかい材質をしています。そのため根を傷つけにくく、バーク栽培よりも花もちが良くなるといわれています。

バークに比べると成長速度は遅くなりますが、なるべく花が落ちないようにしたい場合は水苔がオススメです。また、胡蝶蘭の根が水苔から出てくることがありますが、水苔が柔らか過ぎるからではありません。実は、胡蝶蘭の根は空気に触れられる環境が好きなのです。押し戻す必要はないので、一回り大きな鉢への植え替えを検討しましょう。

保水力がある

水苔は通気性と高い保水力を併せもっているのが特徴です。しっかり水分を保持してくれるので、液肥を与えた際には栄養もとどまってくれます。バークに比べて水やりの頻度も少なくて済むのもポイントです。

しかし、その保水力の高さゆえにカビが発生しやすい、水苔自体が腐りやすいというデメリットがあります。水苔には通気性の良い素焼きの鉢が適しているのもこのためです。

プラスチックなどの通気性のない鉢だと、根腐れを起こしやすくなってしまいます。

水やりのタイミングに注意!

保水性が高いので、頻繁に水やりをする必要はありません。

季節にもよりますが、1〜2週間に1回の水やりで十分です。鉢の表面にある水苔を触って乾燥しているか確かめましょう。湿っていたら、まだ水やりは必要ありません。

水苔は保水力が高いので、水のやり過ぎに注意が必要です。

胡蝶蘭を長持ちさせるコツは「一度水やりをしたら鉢の中が乾くまで水やりをしないこと」と覚えておきましょう。また、水やりの後には鉢の受け皿に溜まった水を必ず捨てて下さい。根腐れの原因になってしまいます。

バークってどんなもの?

バークは赤松や黒松などの木の皮を細かく砕いたものです。似ているものにウッドチップがありますが、これにはヒノキや杉などの木そのものが使用されています。

その他にバーク堆肥というものがありますが、これはバークを発酵させたもので用途が異なりますのでご注意ください。

水苔とは材質も見た目もまったくことなるバーク。ガーデニングに広く利用されているもののため、胡蝶蘭以外にも活用できる場面は多いです。

バークのメリットとデメリット

バークの特徴は排水性が高く通気性に優れている点です。

保水性が高い水苔とは正反対の性質といえますが、水苔と同じくらい胡蝶蘭を植える資材として利用されています。水苔との共通点としては、通気性が良いところと水のやりすぎに注意が必要なところがあげられます。

排水性が高いバークでは何に気を付けるべきか見ていきましょう。

花の輪数が付きやすいとされる

水苔よりもバークで栽培する方が、花をたくさん咲かせると言われています。

これは、バークの方がより胡蝶蘭の本来の生育環境に近いからです。もともと胡蝶蘭は、ジャングルの高い木の上に根を張る植物。根は空気に触れている方が自然で、空気から水分を取り入れることも可能です。

水苔よりもバークの方が胡蝶蘭の根を空気に触れやすい状態にできるため、成長が早く花を多くつけるとされています。

胡蝶蘭の豪華な姿を存分に楽しみたいという方にはバークがオススメです。

排水性がいい

バークは水苔の正反対で、排水性がとても良いです。そのため決して素焼きの鉢と組み合わせてはいけません。通気性の低いプラスチック製の鉢を選びましょう。

排水性が高いため根腐れになる可能性も低いです。その分、水をたっぷりあげる必要があり、水と一緒に栄養素も流れ出てしまいやすいのがデメリットでしょう。

ただし、たっぷり水やりをするといっても、水のやりすぎには注意です。水苔に比べて乾燥状態を確認しづらい点も、バークの難点といえるでしょう。

水苔よりも安価

バークの方が水苔よりも手ごろな値段で手に入ることが多いです。

さらに、水苔に比べて腐りにくいため、植え替えの頻度も少なくて済むというメリットもあります。また、土に近い形なので、植え替えに慣れていない人でも扱いやすいです。あまり手間を掛けられない、という方に向いているかもしれません。

ただし、木の皮は虫がよく好むため、ときにはナメクジが発生してしまうこともあります。屋外で育てる場合には向いていないといえるでしょう。

環境に合った植え込み材を使って育てよう!

水苔とバークにはそれぞれ特徴があり、どちらの方が優れているというわけではありません。早く成長させたいならバークの方が合っていますし、花もちを良くしたいなら水苔の方が適しているでしょう。

どれだけ手間をかけられるか、どんなふうに楽しみたいかなどで使い分けて構いません。

胡蝶蘭は外でも室内でも育てられますが、ジャングル出身ということもあって寒さにはとても弱いです。明るく風通しの良い、暖かい場所に置いてあげましょう。

まとめ

胡蝶蘭は1ヶ月以上も花を咲かせます。また寿命も長く、丁寧に世話をすれば10年以上、長くて50年以上もつともいわれています。胡蝶蘭はもともと木の上に根を張っていたことから、空気に触れる環境が大好きです。

水苔でもバークでも、徐々に植え込み材は劣化していくものなので、3〜5年に1度は植え替えを行いましょう。乾燥状態に気を付けて水やりをしてあげれば元気に花を咲かせてくれるはずです。できるだけ良い環境を整えて、長く胡蝶蘭の美しい姿を楽しみましょう。