胡蝶蘭を着生させるメリットとは?方法もご紹介

植木鉢で育てるイメージの強い胡蝶蘭ですが、さまざまなアイテムに着生させて育てることができるのはご存知でしょうか。元々根を外にむき出しにして育っていた胡蝶蘭は、着生でも問題なく育ちます。この記事では、胡蝶蘭を着生で育てるメリットや、育て方についてを解説します。

胡蝶蘭を着生させるメリット

胡蝶蘭を着生させるメリットは以下の通りです。

  • 育てやすい
  • 根を観察できる
  • インテリア性が高い

それぞれのメリットを詳しく解説していきます。

育てやすい

胡蝶蘭は元々、熱帯雨林のなかに生えている木々に根を巻いて生活しています。そのため、植木鉢で育てていくよりは、自然に近い形で育てることができる着生に向いているのです。

自生スタイルで育てていくことができるので、根腐れが起きるリスクはかなり下げることができるでしょう。

根を観察できる

着生で育てていくと、根がむき出しになっているためしっかりと根の観察ができます。だんだん伸びていく根の様子や、着生する素材にどのように巻き付くかなどをじっくり観察することができるので、胡蝶蘭を長く育てたことのある人でも新しい発見ができるでしょう。

インテリア性が高い

着生させた胡蝶蘭は、なんといってもインテリア性が高まります。着生させる場合、根の動きは非常に複雑になるので、自然が生み出す雰囲気を堪能できるでしょう。

壁にかけたり好きな場所かた吊るすことで、新しい角度で胡蝶蘭を楽しむことができます。

着生植物とは

胡蝶蘭を着生させることができることはわかりましたが、そもそも着生植物とはどんなものだろうか?と疑問に思っている人も多いかと思います。着生植物がどんなものか知っておくことで、より胡蝶蘭の着生がしやすくなるでしょう。

ここでは、着生植物基本情報を詳しく解説していきます。

特徴

着生植物とは、簡単に述べると土ではないなにかに着生して育つ植物のことです。

基本的には、木の幹や枝・岩などに根を巻き付けて生活しています。

ここまでの説明を見ると、植物などに寄生して養分を吸い取る「寄生植物」を想像しがちですが、寄生植物と着生植物は全く異なります。

着生植物は、着生する植物から養分を吸い取ることはなく、むき出しになっている根や葉っぱを使って、自ら養分を集めて生活することができるからです。

着生植物の中でも胡蝶蘭が属しているのが「着生ラン」という分類になります。次は着生ランの誕生ツールについて見ていきましょう。

着生ランの誕生ツール

胡蝶蘭はなぜ土ではなく、木の幹や枝に着生するようになったのでしょうか。ここでは、胡蝶蘭を含む着生ランの歴史についてご紹介します。

着生ランが誕生したのは、ほかの植物よりも遅いタイミングでした。そのため、誕生した頃にはほかの植物が地面を生い茂っていたため、地面に根を張り生存していく余地はなかったそうです。さらに、動物などに食べられるリスクもグッと上がるため、着生ランの原種は土に根を張るのを諦めてしまいました。

そこで次に考えたのが岩や木の幹です。岩や木の幹は、植物が全くといっていいほど生えておらず、さらに動物に狙われるリスクも非常に少ないことから、着生して生きていくことを決めました。

土の中に比べると、養分は自分で確保しなければいけないという非常に厳しい環境下ながらも、着生ランは自らの根や葉を発達させることで着生を成功させ、今現在に至っています。

ラン科の植物は様々な品種がありますが、現在では全体の約7割が着生ランとして花を咲かせているようです。

胡蝶蘭を着生させる方法

自然界だと自ら着生をする胡蝶蘭ですが、人の手を加えて着生させることもできます。手順を知っておくと、スムーズに着生させることができるでしょう。ここでは、胡蝶蘭が着生しやすい素材や適している時期、手順などを詳しく解説していきます。

着生する素材

胡蝶蘭を着生させることができる素材は以下の通りです。

  • コルク
  • 流木
  • ベニア

基本的に木でできた素材であればなんでも着生させることができます。岩にも着生ができる品種もあるようですが、厳密には岩に付いているコケや木の根であることが多いため、木でできたものに着生させると成功しやすいです。

あとは、デザイン性やインテリアとの相性を見ながら素材を選ぶと良いでしょう。

着生に適している時期

着生に適している時期は、胡蝶蘭が生育期を迎える6月頃がおすすめです。6月は、日本では梅雨の時期なので、根から栄養分を補給しやすく胡蝶蘭には最適な時期となります。

どんなに気をつけていても、着生はどうしても根に強く負担がかかってしまう作業です。そのため、少しでも回復の早い時期に行うことで、着生の成功率がアップします。

着生させるために必要なもの

着生させるために必要なものは以下の通りです。

  • 着生させるための素材
  • 水苔
  • 針金
  • タコ糸

水苔は、着生させる素材に巻きつけるため必要なアイテムです。飾り方によって針金などが必要なのか変わってきますが、事前に準備をしておくと急なトラブルにも対処することができるでしょう。

着生させるため手順

着生させるための手順をご紹介します。

  1. 胡蝶蘭の古い根を整理していく
  2. 着生させる素材に水苔を巻きつける
  3. 胡蝶蘭の根を巻きつける
  4. 胡蝶蘭の根と水苔を糸で固定する
  5. ハンギング用の針金を通す

まずは、着生させる予定の胡蝶蘭の根を丁寧に剪定します。このときに、古い水苔はきれいに落とすようにしましょう。また、胡蝶蘭の植え込み材を急に変更すると、根が変化に追いつかずに腐ってしまう可能性があります。そのため、必ず水苔で育ってきた胡蝶蘭を使用するようにしましょう。

根の整理ができたら、着生させる素材に水苔を巻き付けます。そんなに多く巻きつける必要はありませんが、根を守る大切なクッション材となるので、あまりケチらずに使うと良いです。水苔が巻き終わったら根を巻き付けます。根は着生するまで糸で巻いておく必要があるので、タコ糸で固定してください。固定用の糸は直接根に当たる部分でもあるため、天然素材のものを使用してください。

これで着生は完了ですが、ハンギングさせる場合は吊るす用の針金を着生させる素材に通して吊るせるようにしましょう。

着生した胡蝶蘭の育て方

着生した胡蝶蘭は、通常の育て方ではうまく行かないことがあります。根が出ているぶん育てやすいのはたしかですが、気を使うことも多いということです。

ここでは、着生した胡蝶蘭の育て方について解説していきます。

置き場所

着生した胡蝶蘭は、風通しと日当たりが良い場所で管理をしましょう。胡蝶蘭は極度の湿気を嫌がるため、ジメジメとした場所を嫌います。風の通り道などで管理をすることで、湿気を防ぐことができるでしょう。ただし、極度の乾燥には耐えられないため、エアコンや扇風機の風が当たり続けるような場所は避けるのが無難です。

また、成長には適度の日光が必要ですが、直射日光は葉焼けの原因となるため避けてください。

水やり方法

着生させた胡蝶蘭の水やりは、基本的に霧吹きで行うのがおすすめです。根が露出している場合、根が蒸れて起こる「根腐れ」の心配はありませんが、乾燥しやすいため、こまめに水やりを行う必要があります。

根がしっかり着生するまでは、毎日霧吹きで水やりを行ってください。根はもちろん葉にもお水をかけることを意識すると良いです。

夏場は、胡蝶蘭の温度を下げるためにも数回霧吹きで水やりをします。逆に冬場は水の与え過ぎは、株の気温が下がって根に負担がかかってしまうので、日中の温かい時間に常温のお水で水やりを行いましょう。

まとめ

胡蝶蘭は着生させることができれば、楽しく観察しながら育てることができます。そのため、通常の胡蝶蘭では物足りない!と感じる人はぜひチャレンジしてみてください。着生させる方法はとても簡単ですが、根に直接触れる作業になるため丁寧な作業が大切です。育てる環境を整えたうえで、胡蝶蘭の着生を楽しんでください。