胡蝶蘭の名前の由来。ファレノプシスってなに?

日本では胡蝶蘭の名前で愛されている、学名Phalaenopsis aphrodite(ファレノプシス アフロディテ)は、東南アジアに生息分布し、今では世界に広まっている高級花として有名です。

今回はファレノプシス アフロディテとはどういう意味なのか。

どのようにして日本に広まっていったのか。

胡蝶蘭の名前の由来とは何なのか。

見ていきたいと思います。



ファレノプシスって名前と日本名の違い

Foto-Rabe / Pixabay

胡蝶蘭の学名であるPhalaenopsis aphrodite(ファレノプシス アフロディテ)とは、Phalaenopsis(ファレノプシス)が「蛾のような」という意味です。ギリシャ語でphalaina が「蛾」opsisが「~のような」という意味をもっています。

Aphrodite(アフロディテ)が愛と美と性をつかさどるギリシャ神話に出てくる女神のアフロディテからきているので、胡蝶蘭の学名は、「蛾のような愛と美と性をつかさどる女神」という意味になります。

Aphrodite(アフロディテ)はローマ神話では、Venus(ウェヌス)となり、日本では英名のヴィーナスの名で知られています。

蛾のようなといわれるのは、その花の形にあります。蛾や蝶に似ている花の姿はどこか妖艶で美しく私たちを古くから魅了してきました。

東南アジアに分布している胡蝶蘭の原種はもっと模様などが様々で、蛾のような色などにも近くなっているため蛾のようなといわれてきたようです。

日本では、蛾はあまりいい意味を持たないことが多いため、日本で縁起がいいとされる蝶から取り胡蝶蘭と名づけられました。また輸入されてきた時にはもう品種改良が行われていました。

胡蝶という意味は他にも、蝶が舞うようにみえることからもつけられた名前です。

海外では、蛾も蝶もあまり区別して考えられることはないため、英名でもMoth Orchid(モス オーキッド)蛾の蘭という意味ですので、蛾を使用しています。

また面白いことに、英名の中のOrchid(オーキッド)は、ラン科やランの花や薄い赤紫色という意味もある他に、ギリシャ語で、「睾丸のような」という意味のorchisを語源としています。

ランの花の塊茎(バルブ)の形が似ていることからつけられたものですが、胡蝶蘭はこの塊茎(かいけい)といわれる栄養を蓄えておく部分がなく、葉の中に栄養を蓄えていることも特徴です。

 胡蝶蘭の種類を作る原種って?

今世界で高級花として広まっている胡蝶蘭はほとんどが人工による交配種です。

この掛け合わせによって様々な色や大きさの胡蝶蘭の種類が多くなりました。

主な原種はアマビリス(Phal.amabilis)で、よく見られる白色の胡蝶蘭の原種とされています。

また台湾の南部やフィリピンで原産された、アフロディーテ(Phal.aphrodite)も主に使用される原種です。

そのほかにも、シレリアナといったピンク色の胡蝶蘭のに欠かせないものや、中心に紫色の花を咲かせる香りがあるビオラケア(Phal.violacea)や、小さい胡蝶蘭に欠かせないエクエストリス、小型で赤みを帯びた花色をしているので原種として人気があるプルケリマ。

野性味ある色味が特徴のアンボイネンシスやルデマニアナなどといったたくさんの原種から胡蝶蘭は作られてきました。

まだまだたくさんの可能性を秘めた胡蝶蘭ですが、たくさんの交配をして、世の中に出回るのには時間がかかります。

胡蝶蘭自体も花が咲くまでに時間がかかるといわれていますが、新しく新種を作っても安定させるために、新種ができても世の中に出回るのは、約10年もの歳月がかかるとされています。

 日本に渡ってきた高級花

9355 / Pixabay

 

蘭は野生種だけを見てもおおよそ1万から3万種あるといわれ、人工的につくられたものも含めるとその数は膨大で、植物の約1割もの蘭の仲間がいるとされています。

胡蝶蘭はその中でも今から約200年前に発見され、イギリスで人工的に交配され、今の美しい胡蝶蘭の状態で日本に渡ってきました。

元々野生として生えていた胡蝶蘭は、色も茶色などが多かったものの、生産者の苦労が実り今の様々な色を楽しめる胡蝶蘭になっていったのです。

日本に渡ってきてからは、上流階級の方が楽しむものでした。1800年後半から1900年には温室というものもなく、もともと胡蝶蘭が自生して生えている環境からもかけ離れた日本の気候では、育てるのが難しかったからです。

胡蝶蘭が日本にやってきた当初のことを思うと、今よりもっと高級な花として楽しまれていたのですね。

今ではお祝いだけでなく、冠婚葬祭どこに贈っても場を乱すことがないとされて重宝されているのが胡蝶蘭です。

このように、たくさんの方たちに手を取ってもらえるようになったのは、胡蝶蘭の周りを魅了する美しさの魅力だけでなく、たくさんの人たちの手によって愛されてきたことがうかがえます。

胡蝶蘭の名前の由来。ファレノプシスってなに?のまとめ

生産者や品種改良をした方の努力のたまものですね。

これから胡蝶蘭の原種が50種類以上あるということで、これらを交配してますますたくさんの種類の花が増えてくるかもしれませんね。