植物を育てるために必ずといっていいほど必要な肥料。
肥料とは、植物の育ちをよくするために与える栄養のことで、「窒素」「リン酸」「カリ」の三要素のどれかを含んでいます。
化学肥料はもちろん、「堆肥」「糞尿」なども使う肥料も存在し、植物にあった肥料を土などに混ぜて使うことが一般的です。
しかし、胡蝶蘭は土を使わない種類の植物なので、肥料を使うのか悩む方もいらっしゃいます。
今回は胡蝶蘭には肥料を使えるのか、上手な肥料の与え方を中心に紹介していきたいと思います。
目次
胡蝶蘭を育てるときに肥料は必要?
本来乏しい土壌を住処としてきた胡蝶蘭に肥料は必要なのでしょうか、悩むところですよね。
結論から述べると、胡蝶蘭の寿命を延ばし、毎年の開花のためにも肥料は必要です。
しかしその与え方は、一般的な植物とは少し違った肥料やりの知識が必要で、やはり胡蝶蘭は注意を要する植物です。
肥料の与え方や与える時期があり、間違えるとかえって株を傷つけたり、せっかくつけた花を落としたりする可能性があります。
または胡蝶蘭が肥料慣れてしまうと、「花が咲かない」といったトラブルも多く発生し、大事に育てているにもかかわらず思うような効果が得られないということです。
胡蝶蘭の肥料は、一般的に「洋ラン用」として販売されているものを使用します。
広く植物に使用されているアンプルタイプの液肥がありますが、適応植物の欄に蘭と書かれているものの、専門家から見るとぞっとするくらい適さないということで、必ず洋ラン用と明記された肥料を選択するのが無難です。
胡蝶蘭に肥料をあげるために必要な3つのポイント
胡蝶蘭に肥料をあげるポイントは、3つあります。
どういったポイントがあるのかわかりやすく説明していきます。
胡蝶蘭肥料やりのポイントその1
胡蝶蘭の肥料は「生育期」といわれる春から秋頃に与えます。
「生育期」の胡蝶蘭は、新しい根をしっかり伸ばし、与えた肥料の栄養を吸収できるためです。
逆に冬の寒い「休眠期」には株が弱っているため、根を腐らせてしまう危険があるため、十月頃から冬の時期の「休眠期」には、基本的に肥料やりの必要はありません。
胡蝶蘭肥料やりのポイントその2
胡蝶蘭の肥料やりのもう2つ目のポイントは、気温が15℃以上を保てていることと、35℃未満であることです。
真夏の気温が35℃になるような時期は、株は弱っているため避けた方がいいでしょう。
この感覚は人間と同じで、快適に思える常時の室温や気温が胡蝶蘭にとっても負担が少ない環境といえます。
胡蝶蘭肥料やりのポイントその3
3つ目のポイントは、肥料を開花中に与えないことです。
開花中の肥料やりは、株に負担がかかってしまうため、花を落としてしまう原因になります。
花が咲いているときほど栄養が必要と思われ与えたい衝動にかられますが、開花中の肥料やりをしないのが胡蝶蘭を上手に育てるコツです。
胡蝶蘭に肥料をあげる時期
胡蝶蘭に肥料をあげる時には、
- 季節・気温
- 根の状態
をチェックするようにしましょう。
先ほどの「ポイント」でも簡単にお伝えしましたが、胡蝶蘭を育てる際には「肥料をあげる時期」に注意する必要があります。
冬などの寒い時期は胡蝶蘭の根が弱っているため、肥料はあげない方が良いでしょう。その年の気温にもよりますが、基本的に冬を避け、春から秋にかけての4~10月上旬ごろにあげるのが良いとされています。
また、肥料をあげる際にチェックするのは季節だけではありません。
肥料は必ず「新しい根が出ている時」にあげるようにしましょう。寒くない時期だったとしても、根が出ていない時は胡蝶蘭が弱っているタイミングです。
適切な時期に肥料をあげ、胡蝶蘭を健康な状態で育ててあげるようにしましょうね。
胡蝶蘭を育てるときの肥料の種類
胡蝶蘭の肥料は、有機質と無機質の成分があります。
有機質肥料は、代表的なものは油粕で、効果が穏やかでゆっくりと成分が浸透する特徴があります。
そのため肥料による害が少なく済みますが、臭いがあるため室内置きの鉢植えには使用しにくいという欠点があります。
無機質肥料は、成分を化学合成した即効性のある肥料です。
与えすぎると根に負担がかかり傷めてしまう欠点があります。
この2つの成分を取り入れて、「固形肥料」と「液体肥料」に分かれています。
固形肥料
有機質の固形肥料は、魚粉や骨粉を含んだ油粕に水を加えて発酵させたもので、効果が高いぼかし肥という置き肥があります。
メリットには、ゆっくり長く効く緩効性タイプは濃度による障害が少なく、土壌の微生物の活性化により滋養に富んだ健康な土壌になることです。
デメリットは、即効性がないことや水苔が腐りやすく虫も発生しやすい、臭いがある等です。
無機質の固形肥料は、水に溶けやすく即効性があり臭いもありません。
しかし、長期間の使用で土壌が痩せてしまうデメリットがあります。
液体肥料
液体肥料は、調合された液肥の原液を薄めて使うタイプや、そのまま使用できるアンプルタイプが販売されています。
メリットは、根から早く吸収されるため効果が早く、与え方は簡単、臭いも出ず室内の鉢で使いやすいことです。
デメリットは、原液で販売されているタイプは、濃度の調節が必要になることです。
いずれも効きすぎると、株ばかり生育し花をつけづらくなる原因となります。
胡蝶蘭に肥料を与えるときの注意点
胡蝶蘭の出生は、本来土壌が少なく滋養の乏しい木の苔などに着生する植物です。
そのため多すぎたり濃い肥料は、根腐れや茎の余分な成長を引き起こしたりしてしまい、逆効果になります。
基本的に「生育期」に薄めに少量与えるのがコツです。
固形肥料は「置肥」といわれており、植え込み材の上に株から少し離して置きます。
液体肥料は規定通り十分薄めて、水の代わりに10日~15日ほどあけて使用します。
有機肥料を与えすぎると、葉や茎ばかりが大きくなってしまい、胡蝶蘭全体のバランスが崩れてしまうので注意してくださいね。
胡蝶蘭の肥料やりで重要な考え方は、肥料は弱っている株を強くしたり、元気にしたりする薬や強壮剤ではなく、元気な株の生育を助けるものとして与えるという点です。
その一方で、開花中に肥料を与えると、株に負担が生じて花を落とす原因となるため注意が必要です。
まとめ
胡蝶蘭の肥料やりの注意点として、株が弱っているとき(寒い時期・植え替えとき・病気等)に肥料を与えないということは、人間の場合と同様で、具合が悪く体が弱っているときは飲食を控え安静にし、休養をとる感じに似ていますね。
肥料は、栄養が足りないときに与えるものなので、しっかりと元気に胡蝶蘭が成長しているときは、無理に与えなくてもいいです。
しっかりと胡蝶蘭の様子を見ながら、的確なタイミングで肥料をあげるといいでしょう。