胡蝶蘭といえば、白やピンクなどを想像する人が多いですよね。お祝いのシーンで贈られることの多いお花ですが、実は珍しい色もあることをご存知でしょうか?その中でも青い胡蝶蘭は特に珍しく、貴重なお花だとされています。この記事では、なぜ青い胡蝶蘭が貴重なのか、詳しく解説していきます。
目次
青い胡蝶蘭が珍しい理由とは
胡蝶蘭はさまざまな色の品種が出回っていますが、なぜ青い胡蝶蘭だけが珍しいと言われているのかとても気になりますよね。
青い胡蝶蘭が珍しいと言われている理由は以下の通りです。
- 自然界では存在しない色である
- 世界で4カ国でしか生産できない
それぞれの理由を詳しく解説していきます。
自然界では存在しない色である
胡蝶蘭の原種はなんと50種類以上だとされています。花色もそれぞれ異なり、主に白・ピンク・紫・黄色が多いです。
約50種類も原種がある胡蝶蘭ですが、なんと青い花を持つ原種は存在しません。
ほかにある数多くのお花を見ても、原種に青いお花を咲かせることができる品種は、全体の10%未満だとされています。なぜ青いお花が少ないのか明確な理由は解明されていませんが、青色は食欲をさげる色としても知られているため、虫や動物からみても美味しそうにみえないそうです。特に、虫が寄ってこないと受粉が成立しないため、植物を繁栄させることができません。このような理由が、青い胡蝶蘭が存在しないということに影響してくる可能性が大きいです。
現在では品種改良を重ねて青い胡蝶蘭を生み出すことができていますが、自然界に存在していないという理由から、現在も珍しい花色として認識されています。
世界で4カ国でしか生産できない
青い胡蝶蘭は自然界に存在しないため、流通をさせるには人の手を加える必要があります。詳しい方法は下記で説明していきますが、特殊な特許技術が必要なために難しく、世界で以下の4カ国しか生産できないそうです。
- 日本
- アメリカ
- オランダ
- ブラジル
日本も青い胡蝶蘭を作ることができる国の1つですが、47都道府県あるなかでなんと愛知県でしか青い胡蝶蘭をつくることができません。
日本で出回っている青い胡蝶蘭の多くは、愛知県の農家で作られたものと思って良いでしょう。
青い胡蝶蘭の生産方法
青い胡蝶蘭の生産方法は大きく分けて2つです。
- 直接花びらを染める方法
- 品種改良で色を出す方法
それぞれどんな手順で作業をしていくのでしょうか。特徴と方法を詳しく解説していきます。
直接花びらを染める方法
青い胡蝶蘭として有名な「ブルーエレガンス」という品種は、直接花びらを染めた胡蝶蘭です。もともとある白い胡蝶蘭の花びらを直接染めることで、青い胡蝶蘭に仕上げます。
主な方法は以下の2つです。
- 特殊な染色液を注射器で花茎に注入する
- 染色液を花びらに直接吹きつける
特殊な染色液を注射器で注入する作業は、非常に難しく特殊な特許技術が必要となります。
上記でも紹介したように、この方法ができる職人は非常に少なく、日本でも1つの農家でしか行うことができません。
2つ目の染色液を花びらに直接吹き付けるといった方法もとても難しい作業となります。
どちらの方法もしっかりと青色を再現することができるため、鮮やかできれいな青い胡蝶蘭に仕上がります。
品種改良で色を出す方法
青い胡蝶蘭は染色液で染めたものが主流となっていましたが、2012年に千葉大学の研究グループが初めて品種改良による青い胡蝶蘭を作り出しました。通称「青い胡蝶蘭」とも呼ばれる品種改良された胡蝶蘭は、淡い地球のような色が特徴的です。この品種は、お花を咲かせるまでに3年以上の期間が必要であったり、安全性が確立されていないという理由から、まだ世に出回っていません。
しかし、2022年に品種改良が成功し、「ブルーシール」という名前で流通を始めたそうです。詳しくは下記でご紹介します。
青い胡蝶蘭の中でも人気な品種とは
青い胡蝶蘭の中でも特に人気がある品種は以下の通りです。
- 青い胡蝶蘭
- ブルーエレガンス
- ブルージーン
それぞれを詳しく見ていきましょう。
青い胡蝶蘭
先程も紹介をした青い胡蝶蘭の特徴は、淡い地球のような色合いです。まだ「青い胡蝶蘭」は品種改良の安全性が確立されていないことや、青い胡蝶蘭が花を咲かせるまで3年かかるという点が関係して流通の見込みが立っていません。流通が始まれば青い胡蝶蘭の代表的な品種になることは間違いないでしょう。
ブルーエレガンス
花を直接染めることで鮮やかな青色を楽しむことができるブルーエレガンスは、最も流通している青い胡蝶蘭です。
希少価値がとても高いので、花の相場も非常に高くなっています。
胡蝶蘭に人工的な手を加えていると、どうしても早く枯れてしまうのでは?という疑問が生まれるかと思いますが、青く染めた胡蝶蘭もほかの胡蝶蘭と同じように長い期間楽しむことができるので安心してください。ただし、二度咲きの胡蝶蘭は白い胡蝶蘭になってしまうので、注意が必要です。
ブルージーン
ブルージーンは、世界で初めて天然の青色を叶えた胡蝶蘭です。2005年以降15年かけて品種改良が行われた結果、2022年に発売されました。紫がかった濃い青色が特徴で、長年開発ができなかった花色であることから「奇跡のめぐり合い」という花言葉が込められています。まだ流通が始まったばかりの胡蝶蘭なので、手に入れるのは少々困難かもしれませんが、育ててみたい品種ですよね。
青い胡蝶蘭の花言葉
胡蝶蘭全体の花言葉には「幸福が飛んでくる」という意味が込められています。これは、胡蝶蘭がもつ花姿がまるで蝶が飛んでいるように見えることが由来です。日本で蝶は昔から縁起物として親しまれているため、胡蝶蘭も祝い花として親しまれるようになりました。
では、青い胡蝶蘭にはどんな花言葉がついているのか見ていきましょう。青い胡蝶蘭の花言葉は以下の通りです。
- 愛
- 尊敬
- 不可能を可能にする
- 夢が叶う
青い胡蝶蘭を作り出すことができなかった過去があることから、非常に前向きな花言葉がついていることがわかりました。
胡蝶蘭の品種によって込められている花言葉が異なることもあるので、贈るときに調べてみるとよいでしょう。
青い胡蝶蘭の相場と料金が高い理由
3本立て胡蝶蘭の相場は1万円〜3万円前後であることが多いです。シーンや相手によって金額は異なりますが、1万円〜3万円前後の胡蝶蘭を購入すればきれいなお花を楽しむことができるでしょう。
一方で3本立ての青い胡蝶蘭の相場は、2万円〜4万円と若干高い傾向にあるようです。なぜ同じ胡蝶蘭でも相場が異なってくるのでしょうか。ここでは、青い胡蝶蘭が高い理由をご紹介します。
手間がかかる
先程もご紹介をしたように、現在多く流通をしている「ブルーエレガンス」を作るためには、白い胡蝶蘭に色を入れる工程をプラスして完成させる必要があります。そうなると、どうしても手間がかかってしまい、人件費や管理費などが加算されて青い胡蝶蘭の販売価格が変わってくるようです。
大量に生産ができない
胡蝶蘭を青く染める作業ができるのは、日本でも一つの農家だけです。そのため、通常の胡蝶蘭と比べると生産速度が遅いことも青い胡蝶蘭が高価な理由の一つとなっています。
しかし、今まで人工的に染め上げるしか青い胡蝶蘭は生まれなかったですが、2022年以降品種改良で生まれた青い胡蝶蘭の流通も始まりました。これを機に青い胡蝶蘭が多く流通をしてくれるようになれば、求めやすい金額で出回るかもしれませんね。
青い胡蝶蘭を贈るおすすめのシーンとは
青い胡蝶蘭は、花言葉もよくボリュームがあるので様々なシーンで贈ることができます。特におすすめなシーンは以下の通りです。
- 上司や恩師へ向けて
- 父の日
花言葉に「尊敬」という意味が込められているため、目上の人に贈りやすいお花です。特に色もかっこいいシュッとした雰囲気なので、男性に贈っても喜んでもらいやすいでしょう。
また、未来に向けた意味も込められているので、転職をする人にもおすすめです。
父の日といえば、黄色いお花が定番化しつつありますが、青い胡蝶蘭も贈ることができます。さきほど紹介したブルージーンという品種は、ミディ胡蝶蘭なので個人的なお祝いでも贈りやすいサイズです。
まとめ
青い胡蝶蘭は幻のお花とされていましたが、研究者の努力や時代の進歩によって生み出されたことがわかりました。世に流通してからもどんどん進化をしているため、近い将来たくさんの青い胡蝶蘭を見ることができるかもしれませんね。
青い胡蝶蘭の花言葉はどれも素敵なものばかりです。花言葉だけにとらわれず、さまざまなシーンで青い胡蝶蘭を贈ってみてはいかがでしょうか。