胡蝶蘭は、優雅な姿で多くの人を魅了する植物です。 お祝いのシーンの贈答品としてよく目にする胡蝶蘭ですが、どれくらい持つのかと疑問に感じている方は多いでしょう。
そこで今回は、胡蝶蘭の寿命をはじめ、より長く楽しむために押さえておきたいポイントや注意点などを詳しく解説します。
目次
胡蝶蘭の寿命は比較的長い
胡蝶蘭の寿命は他の植物と比べると、長いといわれています。品種や育てる環境によってはさらに長持ちしやすいため、胡蝶蘭の優雅な姿を長期間楽しむことが可能です。
以下では、花・葉・株別で異なる寿命について詳しく紹介します。
花の寿命
胡蝶蘭の花の寿命は1ヶ月程度であり、品種や境によっては3ヶ月程度長持ちさせることも可能です。一般的な植物は2週間程度で枯れてしまうため、胡蝶蘭は比較的寿命が長いといえます。
ただし、置き場所が悪かったり寒かったりしてしまうと、1ヶ月経たずにしおれてしまう可能性があるので注意が必要です。
胡蝶蘭は適切に育てれば優雅な花を長期間楽しめるので、生育環境にこだわってみてはいかがでしょうか。
葉の寿命
上述した花とは異なり、胡蝶蘭の葉には寿命がないといわれています。
現在出回っている胡蝶蘭は、メリクロンというクローンで数を増やしている種類です。その胡蝶蘭が花屋に並ぶまでには4年程度かかるといわれており、その期間でついた最初の葉は枯れることがありません。
そのような理由から胡蝶蘭の葉が枯れることはなく、寿命がないといわれるようになりました。なお、葉が黄色くなったり枯れてしまったりするのは出荷後の環境が変化したことが原因として挙げられます。
また、後述する病害虫の影響によっても葉に異常が起こる可能性があるので注意しなければなりません。
株の寿命
胡蝶蘭の株の寿命は非常に長く、適切な環境下であれば50年以上生き続けるといわれています。花が散ってしまったとしても株は枯れることなく、良好な管理を続けて株が元気であれば何度でも花を咲かせることが可能です。
胡蝶蘭は根腐れや病気にならない限り枯れることはなく、長寿のお祝いにも相応しい縁起の良い花といえるでしょう。
胡蝶蘭の寿命を延ばすためには
胡蝶蘭の寿命を延ばすためには、以下の5つのポイントを押さえておくことをおすすめします。
- 温度や湿度に注意を払う
- 明るい室内に飾る
- 水やりのしすぎには注意
- 肥料は成長期に与える
- 適切な時期に植え替えを行う
ここでは、各ポイントを具体的に解説するのでぜひ参考にしてみてください。
温度や湿度に注意を払う
胡蝶蘭の理想的な生育環境は温度20~25℃、湿度70%程度の場所です。人間にとっても快適に過ごせる室温を維持するのがポイントです。
胡蝶蘭は暑さには強いものの寒さに弱い性質があるので、冬場では10℃以上を保てる室内で管理しましょう。その際、窓際は特に冷え込むので避けたほうが無難です。
また、寒冷地ではミニ温室で育てたり、ビニール袋を活用して保温したりすると胡蝶蘭を弱めてしまう可能性が低くなります。冬場で空気が乾燥していて湿度が50%以下になる場合は、こまめな霧吹きで水分を補うのがおすすめです。
明るい室内に飾る
胡蝶蘭は、明るく風通しの良い場所を好む植物です。しかし、直射日光だと葉焼けを起こしてしまう可能性があるので避けることをおすすめします。
胡蝶蘭を置くときは、レースカーテン越しの窓際やリビングの光が入りやすい場所など、柔らかな光が入ってくる場所を選ぶと良いでしょう。
一方、乾燥しすぎている場所や風通しの悪い場所が苦手なので、エアコンの近くなどに置かないように注意してください。部屋の構造上、風通しが悪い場合は、サーキュレーターなどを活用することで部屋の空気を循環させることが可能です。
水やりのしすぎには注意
胡蝶蘭の水やりは10日に1回程度、コップ一杯の水を与えるのが目安です。具体的には、鉢の中の土やウッドチップが乾いているのを確認できたときが水やりのベストなタイミングです。
また、時期によって水やりの頻度を変えることをおすすめします。夏場では5日程度に1回、冬場では2週間に1回程度水やりするのが理想的です。
胡蝶蘭に水やりしたあとは、鉢皿にたまった水を必ず捨ててください。水の与えすぎや鉢皿の水の捨て忘れは、根腐れやカビの発生の原因につながってしまうので注意しましょう。
肥料は成長期に与える
胡蝶蘭への施肥は、5~9月の成長期に行うのがおすすめです。ただし、胡蝶蘭は少ない養分でも十分育つため、過剰な肥料は必要ありません。
また、花が咲いている時期や寒い時期などの場合も肥料を避けてください。その時期に肥料を与えてしまうと、株を弱らせてしまう場合があります。
胡蝶蘭に肥料を与える際は、液体肥料を3,000~4,000倍に薄めて与えると良いでしょう。
適切な時期に植え替えを行う
胡蝶蘭を長く楽しむためには、適切な時期に植え替えを行うことが大切です。
植え替えする際は、4~6月の比較的暖かい時期が最適です。胡蝶蘭は温度変化に弱いため、夏や冬は避けてください。
また、植え替えのペースは2~3年に1回行うのが良いでしょう。頻繁に植え替えを行うと、根を傷めてしまう可能性があるので注意が必要です。
適切なタイミングで植え替えを行うことで、胡蝶蘭の寿命を延ばすことが可能です。
胡蝶蘭を長く楽しむなら病害虫に注意
胡蝶蘭をより長く楽しむためには、以下のような病害虫に注意しましょう。
- 葉焼け
- 根腐れ
- ハダニ
- カイガラムシ
ここでは、注意すべき病害虫について解説するので、胡蝶蘭を管理する際に役立ててください。
葉焼け
上述したように、胡蝶蘭は直射日光が苦手な植物です。日当たりが良すぎると、数時間当てただけでも葉焼けしてしまうので注意しなければなりません。
葉焼けしてしまうと、葉が黄色や茶色といった焼けたような色に変色し、ひどくなると白っぽくなってしまいます。葉焼けを発見したら、日差しが当たる場所から移動し、変色がひどい部分は切り取ってください。
根腐れ
胡蝶蘭の根腐れは水や肥料の与えすぎ、通気性の悪さなどが原因で起こります。根腐れの症状としては、葉のツヤがなくなってしわしわになったり異臭がしたりなどが挙げられます。
また、咲いた花がすぐに枯れてしまったり根が黒っぽくなっていたりするのも根腐れで起こる症状の一つです。
上記のような症状が見られたら根腐れを疑い、植え替えなどを行って適切に対処してください。
ハダニ
ハダニは、高温で乾燥した環境で発生する害虫です。ハダニが発生すると、葉のツヤがなくなったり葉の裏がベタついたりといった症状が表れます。
ハダニの駆除には殺ダニ剤の散布が有効ですが、薬剤耐性がつきやすい害虫であるため、複数種類の殺ダニ剤を使用するのがおすすめです。
また、水に弱い性質があるので葉水すれば駆除することができ、ハダニの発生の予防にも役立ちます。
カイガラムシ
カイガラムシも、胡蝶蘭で注意すべき害虫の一つです。カイガラムシは葉の裏に潜む性質があり、放置すると胡蝶蘭を弱らせてしまうため、早期発見と適切な駆除が大切です。
主な駆除方法としては殺虫剤の使用をはじめ、粘着テープで物理的に取り除くのが効果的です。
胡蝶蘭の水やりなどのタイミングで葉を定期的にチェックすることで、カイガラムシの大量発生を防げるでしょう。
まとめ
胡蝶蘭の花の寿命は1~3ヶ月と比較的長く、株に関しては50年以上といわれています。胡蝶蘭の寿命をさらに延ばすためには、適切な温度・湿度、日光管理、水やりなどに注意を払うと良いでしょう。
また、葉焼けや根腐れ、ハダニやカイガラムシなどの病害虫にも気をつけることで胡蝶蘭が長持ちします。
ぜひ本記事を参考に、優雅で素敵な胡蝶蘭をできるだけ長く楽しんでみてください。