開花時期の早い胡蝶蘭は、5月になると花が終わっている場合もあり、気候が暖かくなるこの季節はついつい油断しがちです。
次の年も綺麗な花を咲かせるには、葉や根が成長する5月の管理が重要になってきます。
今回は、そんな5月に胡蝶蘭を育てる管理のポイントについて、花芽をつけるため条件とともにまとめてみました。
胡蝶蘭の栽培で失敗しがちな5月を乗り切るための基礎知識を深めて、綺麗な胡蝶蘭を咲かせてくださいね。
目次
5月の胡蝶蘭はどんな状態?
多年生植物の胡蝶蘭にとって5月という季節は成長期に当たります。
日照が多くなって気温も上がる5月は、多くの植物にとっても成長に最も適した季節です。
胡蝶蘭の一般的な開花時期は3月から5月頃ですが、室内や温室の暖かい環境だと5月は花の時期を終えている場合も少なくありません。
冬の間に気温の低い屋外で育てた場合は新しい葉や根とともに花茎も成長し、5月に花が咲き始めます。
4月までと違って株が成長期に転じる5月は、鉢の置き場所や水やりなどの管理方法も異なるため注意が必要です。
5月に気をつけたい胡蝶蘭の管理方法
ここからは、5月の胡蝶蘭を管理する上で重要なポイントを5つご紹介していきます。
日当たり
5月はまだ真夏ほど気温が高いわけではありませんが、気温のわりに日差しが強いという特徴があります。
胡蝶蘭を室内で育てる場合でも、5月の強すぎる直射日光は葉焼けの原因となるので禁物です。
室内でも日当たりの良い場所に鉢を置く場合には日差しを直接当てないよう、レースカーテンを引いた上で日光を和らげてあげましょう。
部屋が十分に明るければ直射日光が当たらなくても葉や根は成長しますので、西日の当たる時間帯は東側や北側に鉢を移動させるのも効果的です。
湿度
6月以降と比べて5月は湿度がまだ低く、気温が下がりやすいため、夜間は思ったよりも冷え込む日が少なくありません。
鉢の置き場所も室内が推奨されますが、空気が乾燥しやすい季節のため湿度の管理が重要になってきます。
胡蝶蘭はもともと高温多湿の熱帯地方を原産地とする植物だけに、低温とともに乾燥にも弱いのです。
室内で栽培する場合には必要に応じて加湿器を使用し、湿度を40%以上に保つようにしましょう。
水やり
胡蝶蘭の栽培で重要な鍵を握る湿度管理を行う上では、適度な水やりも欠かせません。
多湿の環境を好むからといって、水をやりすぎると根腐れの原因となってしまいます。
着生植物の胡蝶蘭を育てる鉢には土ではなく、水苔やバークなどの植え込み資材を使用するのが一般的です。
水やりは葉に水がかからないように注意しながら、それらの資材が乾いたタイミング(1週間〜10日程度)で行います。
5月中でも湿度が上がってきたら水が乾きにくくなりますので、水やりを調節して資材に水が溜まらないようにするのが失敗しないコツです。
肥料
胡蝶蘭の葉や根が大きく成長する5月には、栄養を補給するための肥料も必要になってきます。
とはいえ株が弱っている状態で肥料を与えすぎると根腐れの原因となりますので、施肥を行うかどうかは根や葉の状態次第です。
花が終わった後に新しい根が出て葉も成長しているようなら、5月から肥料を与え始めてもいいでしょう。
洋蘭用の液体肥料を用いる場合には、規定の2倍程度に薄めて与えるのがポイントです。
植え替え
胡蝶蘭の株が成長して鉢が窮屈になったり、植え込み資材が傷んできたりした場合は植え替えが必要になってきます。
水苔やバークなどの資材が古くなると株も弱ってくるため、新しい資材と入れ替えることで成長に適した環境が整えられるのです。
植え替えの時期は5月が最も適し、遅くとも6月までに済ませる必要があります。
植え替えの際には根を傷つけないよう慎重に作業を進め、腐っている根を切り取って健康な根だけを残すのがコツです。
胡蝶蘭に花芽をつけるためのポイントは?
花芽とは?
胡蝶蘭の株から出る芽には、「後に成長して花になる芽」と「葉になる芽」の2種類があります。
このうち花になるものが花芽と呼ばれ、株の根元部分に出る黒い花茎が目印です。
順調に成長した場合の開花時期は花芽が出てから2ヶ月から3ヶ月後ですが、気温が15℃以下になると成長が止まり、気温が上がってくると再び成長を始めます。
花芽をつけるための条件
一般的なサイズの胡蝶蘭が花芽をつけるには温度の条件があり、18℃が花芽形成に必要な温度です。
大型の胡蝶蘭は最低気温18℃の環境に40日程度置かれることで、花芽をつけるようになります。
ミディと呼ばれる中型の胡蝶蘭は花芽形成までに必要な日数が半分に短縮され、最低気温18℃の環境下で20日程度です。
通常だと9月から10月にかけて最低気温が18℃程度まで下がり、花芽が形成されるようになります。温室で栽培しない限り気温が15℃以下に下がる11月以降の冬場は成長が止まるため、実際に開花するのは翌年の春です。
ミニ胡蝶蘭はそうした最低気温と関係なしに、株が充実してくると花芽を形成します。
5月に胡蝶蘭を育てる時の注意点
暖かくなっても突然外で育てるのはNG
気温の低い冬場から春先にかけて胡蝶蘭を室内で育てた場合でも、5月に暖かくなってきたからといって急に外で育てるのは禁物です。
温室で育てていた場合と違って、5月は成長期に転じて間もない時期に当たります。
5月は日中の最高気温が上がりやすい反面、朝晩は冷え込む日も少なくありません。
室内とは環境が大きく変わると根の成長が止まってしまうリスクがありますので、外で育てるのは室内の温度や湿度との差が小さくなる季節まで待ちましょう。
病気や害虫に注意!
気温が上がってくる5月は、胡蝶蘭に病気や害虫が発生しやすくなる点に注意が必要です。
灰色かび病は花に黒いしみが生じる病気で、湿度100%のまま気温が下がることでカビが繁殖します。
開花時期に水を与える際には、花に水がかからないように注意する必要があります。胡蝶蘭につく害虫としては蕾を枯らすケナガコナダニや、葉裏についてすす病を引き起こすコナカイガラムシなどが代表的な存在です。
普段から蕾や葉の様子を観察し、害虫を見つけたら綿棒などで落とす必要があります。
まとめ
5月は胡蝶蘭の開花時期と重なる場合もよくありますが、葉や根が成長する大事な時期でもあります。
植物全体が大きく成長することで次の開花に向けたエネルギーが蓄えられますので、水やりや肥料なども成長期に合わせて調節することが大切です。置き場所や病害虫への注意点も含めた基本情報を参考にしながら育てていけば、来年も綺麗な花を咲かせることができるでしょう。