胡蝶蘭は観賞用の洋蘭としてたいへん人気が高い花です。花持ちが良く、華やかな花姿が長期間楽しめるのが特徴的。 しかしながら、初心者の方にとっては、お手入れ方法が分からず、枯れてしまうこともよくあるようです。
しかし、適切な環境で育てれば、胡蝶蘭は数ヶ月間という長期にわたって楽しむことができます。 また、適切な手入れ次第では、二度三度と開花を繰り返すこともできますよ。
そこで今回は、胡蝶蘭の基本的なお手入れ方法と、二度咲きさせるためのポイントをご紹介します。
目次
胡蝶蘭のお手入れの基本
胡蝶蘭の生育環境は、室内であれば比較的管理しやすいと言えます。
- 胡蝶蘭の生育環境
- 置き場所と光の条件
- 適切な温度と湿度
それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
胡蝶蘭の生育環境
胡蝶蘭は熱帯の植物なので、次のような環境が適しています。
【温度】
適温:20℃前後
最低温度:15℃以上
最高温度:30℃以下
【湿度】
適湿:50%~60%
40%以下の乾燥には注意
【光環境】
明るい日陰が適しています。 直射日光は避けましょう。
西向き、北向きの窓際がおすすめです。
このように温度や湿度、光の条件を整えることが大切です。部屋の環境によっては、加湿器や遮光カーテンの使用をおすすめします。
置き場所と光の条件
胡蝶蘭は熱帯のジャングルで高い木に着生して育つため、日当たりと風通しの良い場所が適しています。屋内で育てる場合は、直射日光は避けレースのカーテンを通した明るい日陰が理想的です。
一方、屋外で育てる時は夏場の直射日光を避け、木陰や遮光ネットで日差しを和らげましょう。冬場は寒さに弱いため屋外は避けた方が無難です。置き場所の注意点は以下の通りです。
◎良い環境
- 木漏れ日が差し込む明るい日陰
- 室内なら直射日光を避け風通しの良い場所
×NG環境
- 直射日光が当たる場所
- エアコンや扇風機の風が直接当たる場所
- 果物の近くでエチレンガスが発生する場所
このように、熱帯植物である胡蝶蘭は日光と風通しを確保しつつ、直射日光や寒さ、乾燥などの極端な環境を避ける配慮が大切です。
適切な温度と湿度
胡蝶蘭が生育に適した温度は、15〜25℃前後です。 特に暖かい日の直射日光は避け、冬場の10℃以下の環境も避けましょう。湿度は50〜70%が理想的です。 適度な湿度を保つために、以下の対策が有効です。
- 鉢の周りに水をはった受け皿を置く
- 加湿器を使う
- 霧吹きで葉に直接水をあてる
水やりのコツ
胡蝶蘭の水やりは、正しい方法を守ることが大切です。
- 水やりの頻度と時間帯
- 適切な水の量
- 水やり後の排水の重要性
以上のポイントについて見ていきましょう。
水やりの頻度と時間帯
胡蝶蘭への水やりは、週に1回程度で与えるのがおすすめです。鉢の中の水ゴケやウッドチップの湿り気がほとんどなくなったら、次の水やりのタイミングとなります。
水やりの時間帯は、午前中が理想的です。
理由としては、夕方から夜にかけては気温が下がるために水を吸い上げにくくなる こと、午前中の方が根から吸収されやすいことなどが挙げられます。
冷たすぎる水は根や株にダメージを与えるおそれがあるため、水の温度は20℃前後の微温水がおすすめです。
適切な水の量
胡蝶蘭への水やりは、鉢の大きさに合わせて適量を与えることが大切です。 一般的な目安は以下の通りです。
鉢の大きさが大きければ、その分多めの水を与える必要があります。 ただし、水を控えめに与え、土の乾燥具合を見ながら適宜調節するのが賢明です。
水やり後は必ず受け皿に溜まった水を捨ててください。 受け皿に水がたまったままだと、根腐れを招く原因となるためです。
以上の点に留意し、環境に合わせた適切な水の量を把握することが、 胡蝶蘭を元気に育てる上で重要なポイントとなります。
水やり後の排水の重要性
胡蝶蘭の鉢底面から水が出るまで十分に水をやることが大切です。これは根に適度な空気が行き渡るようにするためです。 しかし、水を入れすぎると根腐れの原因となり枯れてしまうリスクがあります。
そこで、水やり後は30分程度で鉢底から水が出てこなくなったら、その時点で排水を行うようにしましょう。
排水方法の一例
- 受け皿に溜まった水を捨てる
- 鉢を傾けて排水穴から水を出す
- 鉢底の水が切れたら完了
このように、水はけの良い状態を保つことで、根に適度な空気が行き渡り、健全な生育を保つことができます。
二度咲きさせるための手順
胡蝶蘭に二度花を咲かせるためには以下の手順を踏む必要があります。
- 花が終わった後の切り戻し
- 休眠期間中の管理
- 開花させるためのきっかけづくり
花芽が確実につくと、開花に向けて成長が始まります。それぞれのポイントを見ていきましょう。
花が終わった後の切り戻し
胡蝶蘭の花が終わったら、次の手順で切り戻しを行いましょう。
①花がらを摘み取る:しぼんだ花は花首の位置で摘み取ります。古い花がらは早めに取り除くことが大切です。
②花茎を切り戻す:花のうち3分の2が終わったら、花茎の根元近くでカットします。一般的には下から3〜4節目でカットしますが、株の体力を蓄えさせたい場合は、より根元に近い位置で切ります。
二度咲きを狙う場合は、花茎の切り口から新しい花芽が伸びてくるのを待ちましょう。1〜2ヶ月後に開花する場合があります。二度咲きの確率を上げるには、胡蝶蘭が好む温度湿度、日当たりの良い環境で管理することが重要です。
休眠期間中の管理
胡蝶蘭の二度目の開花を促すには、一定期間の休眠が重要です。 胡蝶蘭の休眠期は、花が終わってから新しい芽が出るまでの時期なので、必ず休眠させてあげてください。。休眠期間中の管理のポイントは以下の通りです。
- 水やり量を控えめにする
- 肥料の与えすぎを避ける
- 寒さに注意し、適温(15~20℃程度)を保つ
このように、適切な環境を整えることで胡蝶蘭の休眠期間を乗り越え、次の開花につなげることができます。
開花させるためのきっかけづくり
休眠期間が終わったら、その後、開花のきっかけづくりとして以下の方法があります。
- 夜温を5℃程度下げる
- 日光浴を十分に与える
このように、休眠期間を経て体力を回復させた後、温度変化や日照を与えることで、次の開花サイクルへと移行させることができるのです。
まとめ
胡蝶蘭は比較的手間のかからない花として人気がありますが、適切な環境とお手入れをすることで、より長く楽しむことができます。
生育環境に留意し、光、温度、湿度を適切に保つことが大切です。また、水やりは朝が良く、水が切れる前に控えめに水を与えましょう。排水も忘れずに行います。
二度目の開花を狙うなら、切り戻しと休眠期間の管理が重要です。鉢の質も大切なので、時期を見て鉢替えをする必要があります。
適切なお手入れを心がければ、胡蝶蘭を何年も楽しむことができます。この記事を参考に、胡蝶蘭のお手入れを楽しんでくださいね。