お店のお祝いや、ビジネスシーンでもよく見られる胡蝶蘭。どうやって育てられているか知っている方は少ないのではないでしょうか。
最近の胡蝶蘭はクローンを作り出すことによって増やしているのをご存知ですか?
今回は胡蝶蘭の増やし方、クローンの胡蝶蘭について解説します。
胡蝶蘭の種は売ってる?
おめでたい席には必ずといっていいほど目にする胡蝶蘭ですが、種を見たことがある方はほとんどいないのではないでしょうか。
実は、胡蝶蘭も種を取ることは可能なのですが、埋めても発芽しないのです!
その理由は、胡蝶蘭の種が無胚乳種子というもので、発芽するための栄養が種に入っていないので、自分の力で発芽することができないのです。
どうやって蘭の生産農家が発芽を刺せているかというと、フラスコの中に胡蝶蘭に必要な栄養素を入れ、環境を管理し、フラスコ内で発芽させるのです。
これだけでも胡蝶蘭を咲かせるのが大変だと思いますよね。
胡蝶蘭の増やし方
現在では、蘭の博覧会に出すものや愛好家がコレクションするようなものでない限り、種から胡蝶蘭を育てる方法を取ることはありません。
ではどうやって胡蝶蘭を育てているかというと、クローン栽培で苗から育てるのが一般的になっているのです。
クローンで胡蝶蘭の苗を育てる方法を、「メリクロン栽培」といいます。
新しく伸びかけた芽の中の「成長点」と呼ばれる細胞分裂を行う部分を取り出し、培養することで増やす方法です。
こうすることによって、綺麗な花を咲かせるオリジナルの株と同じ株を、いくつも作り出すことができるのです。
綺麗な花を安定して量産できるメリクロン栽培は、胡蝶蘭の価格を下げることに役立ちました。このような技術革新によって、現在は1万円程の金額で胡蝶蘭を買うことができるようになったのです。
クローンで作られた胡蝶蘭とそうでないものの違いは?
では、クローンで作られた胡蝶蘭と、種から時間をかけて作った胡蝶蘭は、どのような違いがあるのでしょうか。
種から時間をかけて育てた「実生苗」は、人間と同じように2つとして同じ花が咲くことはありません。「世界に1つだけの花」なのです。
実生苗で育てた胡蝶蘭は希少価値があり、良い物には高値が付きます。展覧会などに出品されたり、賞を受賞するものは実生苗です。
ところが、綺麗に咲くという保険がないため、花が上手く咲かなかったり、奇形が生じてしまった場合には、時間をかけても価値が付かない危険性もあります。
そこで、綺麗な花を量産するために登場したのがクローンで作り出した「メリクロン苗」です。
綺麗に咲く胡蝶蘭の株の細胞を増殖させて作っているので、奇形などがおこる確立が低く、ロボットのように大量生産ができます。
同時に価格が抑えられ、価値も低くなります。
なので、現在ネットなどで売られている胡蝶蘭のほとんどはメリクロン苗で作られたものです。
まとめ
胡蝶蘭を育てるには、何年もの時間がかかり、育てるための温度調整などの細かいお世話が必要です。
この手間暇を考えれば、胡蝶蘭が高級であることも頷けますよね。
手間や時間を省くためにクローンで大量生産できるようになって、1万円前後で良い品質のものが市場に出回るようになりました。
今後も品種改良がすすみ、より綺麗な花、より長持ちする花がどんどん登場していくでしょう。
綺麗な胡蝶蘭を見た時には、たくさんの方が何年も時間をかけて育てた胡蝶蘭なんだと考えると、大事に育てたくなりますよね。
胡蝶蘭を貰ったあと、花が枯れたら終わりではなく、大事に育てれば2年目もお花を咲かせることもできます。手間暇かけて育てた胡蝶蘭を、なるべく長く育ててくれると嬉しいです。