お祝い事や葬儀へのお悔やみの花など、あらゆるシーンで使われることが多い胡蝶蘭ですが、もっとも大きいサイズである大輪系で花の数も多いと5万円以上もすることもある高価な花でもあります。贈り物として胡蝶蘭を贈る場合は、値段が高くてもいいかもしれませんが、自分用で買うとなると、なかなか手が出しにくい値段だと感じる人も多いでしょう。「安くするために胡蝶蘭を種から育てる方法はないのかな?」と考える人もいるのではないでしょうか。そこで今回は花が咲いた胡蝶蘭を店頭で買うのではなく、胡蝶蘭を種から育てる方法があるのかどうかについて解説していきます。
初心者はお断り! 胡蝶蘭は育てるのが難しい花
冒頭から出鼻を挫くような発言になってしまうのですが、胡蝶蘭は育てるのが非常に難しい花です。「ちょっと胡蝶蘭を育ててみようかな」ぐらいの軽い気持ちでは最終的に花まで咲かせるのは厳しいと思います。
もしもあなたがこれまでのガーデニング経験が長く、花や植物を育てることが得意なのであれば、胡蝶蘭を種から育てることにチャレンジしてもいいでしょう。
しかし、ガーデニングの経験がない初心者の場合、いきなり胡蝶蘭を種から育てることにチャレンジするのはやめておいたほうがいいです。
胡蝶蘭の種は販売されていない!?
胡蝶蘭の種は花や苗のようにインターネットで気軽に購入できるものではありません。実際、webで検索をしていただければわかりますが、胡蝶蘭を専門に取り扱っているところでも種の販売はやっていない場合がほとんどなのです。
胡蝶蘭は種を蒔いただけでは成長しない
「じゃあ自分で種を収穫して育てよう!」と考える人もいるのではないでしょうか。もちろん胡蝶蘭は結実すると花の付け根の部分にオクラの実に似ている種ができ、そこから種を収穫することは可能です。
しかし、仮に胡蝶蘭の種を手に入れることができたとしても、そこから大変な作業が待っています。
花を種から育てると聞いて、あなたはまず最初に何をすればいいと思うでしょうか? おそらくほとんどの人が「まずは種を蒔くことからでしょう?」と答えると思います。けれど、胡蝶蘭は種を蒔いても成長しません。
そもそも胡蝶蘭は自然に成長するのが非常に難しい花と言われています。ましてや人の手で育てるとなると、一般的な花の育て方とは違う方法をとらなければいけません。
具体的に言うと、胡蝶蘭を種から育てる場合はまずフラスコを準備し、胡蝶蘭に必要な栄養素を入れます。あとは何もしないでも発芽するかというとそうではなく、環境管理をしっかり行い、無菌状態を作り出さなければいけません。
生産農家や農業高校など、管理システムが整っている場所ならまだしも、一般家庭で環境を整備して無菌状態に近い環境にするのはちょっとやそっとではできません。
あらゆる苦難を乗り越え、さらに正しい手順を踏むことでやっと胡蝶蘭の種を成長させていくことができます。
胡蝶蘭は苗から育てるのが無難
さて、ここまで話した内容でおわかりの方も多いと思いますが、胡蝶蘭を種から育てる方法は100%ないわけではありませんが、現状は「種の入手が困難なこと」「育てていくのが非常に難しい」という2つの観点から種から育てることに関してあまりお勧めできることではありません。比較的入手しやすい胡蝶蘭の苗を購入し、育てていくのが無難だと言えます。
もしも胡蝶蘭を種から育て、花まで咲かせたときの感動や達成感はほかでは得ることができない体験かもしれませんが、そもそも胡蝶蘭は苗から育てるのも大変な花です。
無理して種から育てるのではなく、苗から育てることを選択しても十分すぎるほど達成感があるでしょう。しかも胡蝶蘭の苗であれば1000円代で購入できるので、誰でもチャレンジしやすいです。
また胡蝶蘭の育成方法を調べたり、苗から育てることにチャレンジした人は胡蝶蘭の販売価格が高いことに納得がいくと思います。なぜなら胡蝶蘭は育てるのが大変ですし、生産農家や店頭で販売されているような立派な花を咲かせるためにはそれ相応の苦労と努力をしなければいけません。改めて胡蝶蘭の価値を再認識することができるでしょう。
今後の胡蝶蘭の育成技術の発展に期待しよう
胡蝶蘭を種から育てることが難しいということがわかり、残念に思った人も多いかもしれませんが、あくまで現時点での話です。以前の記事でご紹介したように、つい最近になって胡蝶蘭の新しい色である青色の胡蝶蘭が店頭で販売されるようになるなど、日々、胡蝶蘭の研究や私たちの身の回りのテクノロジーは進化しています。一般家庭で胡蝶蘭を種から育てる方法に関しても、今後はより簡単で素人でも育てやすい方法・技術が確立されるかもしれません。今後の胡蝶蘭の育成技術の発展に期待しましょう!