引越祝い・就任祝い・開店祝いなどに華やかな胡蝶蘭をもらうことがあると思います。
そんな時、育てた経験がない人は、管理やお手入れの方法がわからず困ってしまうこともあるのではないでしょうか?
胡蝶蘭はデリケートでお手入れが難しいイメージがありますが、実はいくつかのポイントを守れば長く育てることができるお花です。
今回は、基本のお手入れをお話ししたいと思います。
目次
水やりのポイント
胡蝶蘭を枯らしてしまう原因のひとつに、水やりがうまくいかなかったからということがよくあります。まずは鉢植えの表面を指で押してみてください。
表面を覆っているミズゴケ全体が完全に乾いている状態が水やりの目安です。季節や置き場所などの環境、温度によっても異なりますが、平均すると1週間~10日に1度のペースになるでしょう。
1回の水やりの量は、ひとつのポットにつきコップ一杯が目安です。
それぞれのポットに水やりをする
胡蝶蘭の株元にあるミズゴケをどかすと、大きな鉢の中にポットのまま植わっているのが分かると思います。
2本立ての場合はポットが2つ、3本立ての場合は3つのポットに入っている状態ですので、それぞれのポットにお水をあげるようにしましょう。
やってはいけないこと
胡蝶蘭は熱帯が原産のお花です。お水の温度が冷たいと胡蝶蘭に負担がかかるため、常温に近いお水をあげてください。
また、お水を与えた後は鉢底から水が出てくるかをチェックしてください。水が出てくる場合は、しっかり水が切れるまで待ち、受皿にたまったお水も捨てましょう。
胡蝶蘭への水のあげ過ぎは根腐れの原因となります。受皿にたまったお水を放置することやラッピングを外さない状態も原因のひとつになるため注意が必要です。
時間帯は朝
午後にお水をあげると、日に当たる時間が短くなり、水の乾きが悪くなってしまいます。胡蝶蘭は根腐れしやすいため、午前中に水やりができなかったときは翌日の朝まで待ちましょう。
成長期には葉にも霧吹きを
着生蘭となった後の成長期には、比較的お水が多く必要です。毎日の水やりと一緒に葉の部分にも霧吹きでお水を与えてあげてください。胡蝶蘭は葉からも水分を吸収します。
温度管理のポイント
胡蝶蘭は本来、熱帯ジャングルの高い木にくっついて生育しているため、温度管理が非常に重要です。
20℃前後が最適
20℃前後が最も適した温度です。しかし夏場の窓際や冷暖房の風が直接当たる場所に置いてしまうと、お花がしおれたり痛んだりする原因になります。
冬場は要注意
日本の夏は胡蝶蘭の原産である熱帯環境と気候や湿度が近いので、夏場はさほど気を遣わなくても大丈夫です。
冬は最も注意が必要な季節です。冬はただでさえ乾燥する時期ですが、暖房器具を使って空気を温めると湿度がかなり下がります。乾燥が続くお部屋で胡蝶蘭を栽培すると、つぼみが黄色く変色して落ちたり、咲いているお花も株も衰弱してしまったりするため、冬場は成長期にかかわらず霧吹きで葉やお花にお水をあげる必要があります。加湿器を使うのもオススメです。
風通しが良く直射日光のない場所
胡蝶蘭は湿気に弱いため、必ず風通しが良い場所に置いてあげましょう。
また、日当たりの悪い場所だと光合成ができず成長が悪くなったり、お花が衰弱してしまったりする可能性があるため避けてください。
ただし、直射日光が当たると枯れてしまう原因となるため窓際も避けましょう。どうしても窓際しか置き場所がない場合は、レースカーテン越しに日光が当たるようにしましょう。屋外は気候に左右されてしまうのでオススメできません。
植付けまでのポイント
胡蝶蘭は1か月ほどきれいなお花が咲きますが、お手入れによってはひとつの鉢でそれを2回楽しむことも可能です。
枯れた花茎を切っても大丈夫?
胡蝶蘭は切った部分から新しい花芽を出す性質があるお花です。このため、1年に2回花を咲かせることができます。
1回目のお花がしおれてきたら、元気なお花を花茎の2節目の上部あたりで切り落とします。切ったお花は切り花として楽しみつつ、2回目が咲くまで待ちましょう。2回目のお花も咲き終わったら、根本の3-5cmあたりで切ります。
切った後に植付けをする方法
蘭には地性蘭と着生蘭がありますが、胡蝶蘭は着生蘭にあたります。
全ての花茎を切ったら、残った株をミズゴケと一緒に、ひもなどで結び付けてコケ玉のようにして来年のお花が咲くのを待ちます。この状態のものをつるした着生蘭もインテリアとして人気です。
では、具体的な手順を見ていきましょう。
【用意するもの】
- ハサミ
- コルクボードもしくは流木
- 市販のミズゴケ
- 天然繊維の綿糸や麻ひも
- 針金
- まずポットから出し、干からびた根や水で膨らんでしまっている古い根をハサミで切って取り除き、きれいに整えます。
- トリミングした胡蝶蘭の株を置き、根が隠れるようにさらにミズゴケで覆います。こんもりと盛る必要はありません。
- 天然繊維の綿糸や麻のひもを使って呼吸できるように少し根を露出させ、流木やコルクにぐるぐると縛り巻き付けます。
- コルクや流木につるすための穴を開けて針金を通せば完成です。
着生蘭を育てるときの注意点
胡蝶蘭は長い花茎を伸ばす品種です。そのため上向きに株をつけると重みではがれてしまうこともあり、下向きにつけた方が無難です。着生させるときは寒い時期を避け、流木やコルクに巻き付けた直後は肥料を与えないようにします。
まとめ
いかがだったでしょうか。熱帯原産の胡蝶蘭は私たちがふだん目にするお花とはちょっと違いますが、性質を知れば難しくなく、実は日本の夏などは胡蝶蘭にとって比較的育ちやすい環境です。
ポイントをおさえて、頂いた胡蝶蘭を長く楽しんでくださいね。