寝室に胡蝶蘭を置くと呼吸できなくなる?噂の真相とは

胡蝶蘭が寝室にたくさんあると死んでしまう、という噂があります。

胡蝶蘭が他の植物と呼吸の仕方が違うために出たデマだったのですが、実はその根拠はあったのです。

今回は胡蝶蘭が寝室にあると死んでしまうといったうわさの出どころや、胡蝶蘭と他の植物の違いについて、また、胡蝶蘭を育てる一番いい環境についてお伝えしていこうと思います。

胡蝶蘭が寝室にあると死ぬ?呼吸の違いとは

胡蝶蘭の呼吸

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胡蝶蘭がある部屋で寝ると酸素不足で死んでしまう、といったうわさは呼吸の仕方にあるとされています。

植物には光を浴びて光合成をするというのは小学生の時に習いますが、胡蝶蘭はこの光合成をおこなわない植物です。

光合成をおこなわないのになぜ生きていけるのか不思議ですよね。

普通の植物との違いから、胡蝶蘭がどのようにして生きているのか見ていくと、噂の出どころが分かってきます。

植物は、二酸化炭素を吸って酸素を吐き出すといわれています。これは光合成をおこなう時だけで、植物も夜になると普通に息をするので、酸素を吸って二酸化炭素を吐きだします。

普通の植物は二酸化炭素を吸って酸素を吐き出して見えていますが、光合成するときに出す多くのガスが酸素を吐き出させているように見えているだけなのです。実際は光合成をしながらも酸素を吸って二酸化炭素を吐き出しています。

光合成は植物にとって、水をエネルギーに変える大切なものです。なので、エネルギーの消費が激しく、水も多く使うようにできているためエネルギーの消費量が激しく、ガスの発生量が多くなります。

胡蝶蘭が酸素を吸って二酸化炭素を吐き出しているように見えるのは、普通に呼吸をしているだけです。

しかも、胡蝶蘭が呼吸をするのは夜だけです。

昼間は気孔を閉じています。

そのため普通の植物と違って酸素を吐き出さないので二酸化炭素しか吐き出さないと誤解されたことがきっかけで噂になったようです。

寝ている間二酸化炭素が充満して酸欠がおきて知らない間に窒息死するということで、「胡蝶蘭と一緒に寝ると死ぬ」という噂になりました。

実際、他の植物と変わりませんので、あまり気にしすぎることはないようです。

しかしなぜ胡蝶蘭は他の植物と違って、呼吸を夜に限定しているのでしょうか。

昼間には光合成や、呼吸をしていないのでしょうか。

特殊な環境?胡蝶蘭って過酷な中生きているの?

過酷な環境

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胡蝶蘭の原産は、東南アジアなどの熱帯地方です。

胡蝶蘭はなんと、水が豊富にある熱帯雨林に育ちながら、砂漠に生きている植物のような過酷な状況にも対応できる性質を持っています。

それは胡蝶蘭が生えている場所に関係しています。

熱帯地方の雨が多い場所にも関わらず、胡蝶蘭は木の上に生えています。しかも木の栄養をもらうのではなく、自分で栄養を作り出す「自生」して文字通り自分で生きてはえています。

木の上に生えているため、水を常に飲むことができない環境になってしまいます。

そのため、少ない水を効率よく使用するために砂漠にいる植物が使っている「CAM型光合成」を行う「CAM型植物」なのが胡蝶蘭。

CAM型光合成とは、ゆっくりと光合成をおこなうことです。

普通の植物が昼間太陽を浴びながら光合成をして水を使ってエネルギーを作り出すのに対して、昼間は気功を閉じ水分が逃げないようにして、夜になってから呼吸をしだします。

砂漠の植物は少ない水分で、太陽が当たっているときはとても暑く、夜になると昼間の温度から20度以上も下がる寒暖差がある厳しい地域でやっていくために、あまり、エネルギーを消費しないようにしている工夫が胡蝶蘭にもみられているのです。

夜に水をエネルギーに変えるときも、胡蝶蘭は酸素を吐き出さずに、ゆっくりと時間をかけてエネルギーに変えていきます。

胡蝶蘭の呼吸は、普通の植物とは違って、少ない水分を最低限で使うことに優れているのです。

胡蝶蘭が他の植物と違うのは呼吸だけではない?

胡蝶蘭の最適な置き場

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そんな胡蝶蘭が他の植物と違っているのは、呼吸だけではありません。

胡蝶蘭は、根っこも他の植物とちょっと変わっています。

というのも、実は胡蝶蘭の根っこは空気が大好きです。

もともと土に埋まっているより木に自生して生えているほどなので、根っこ自体は他の植物より乾燥しています。

胡蝶蘭は土の栄養を得るのではなく、水から栄養をゆっくり作り出しているので、栄養剤もあまり必要がありません。どうしてもあげたい場合は、花が咲き終わった後に、洋ラン用の栄養剤を1000~3000ほど薄めて使用します。もちろん、表示があった場合はそちらを参考にして下さいね。

胡蝶蘭に必要な栄養は水だけあればいいので、根っこを10分水につけてから出して1日放置しておく育て方もあるほどです。普段は、鉢に入れてミズゴケやバークなどで管理しますがその時も水やりの頻度は少な目です。

鉢の中の土(胡蝶蘭の場合はバークやミズゴケ)が乾いたら水をあげるというのはどの植物も変わらないのですが、胡蝶蘭が他と違うのは乾くまでの時間です。普通の植物の土は2~3日で乾くところ、胡蝶蘭は1週間や10日で乾くこともあるほどです。

空気中の水分(湿度)を葉っぱが吸収していることもあります。

胡蝶蘭は湿度が好きです。しかし根っこは乾かし気味に育てるとうまくいきます。

胡蝶蘭が生き生きとする置き場所は、直射日光に当てないで、エアコンや扇風機などの直に風が当たるところは避けます。

空気の循環がいいレースのカーテン越しのリビングなどにおいてあげると良いでしょう。

まとめ

胡蝶蘭の呼吸の仕方を知ることで、胡蝶蘭の生態が見えてきました。

熱帯雨林という水分が豊富な環境の中、あえて砂漠のような水分をあまりとれない厳しい環境に自らを置くことで命をつないできた胡蝶蘭。

だからこそ、人々を魅了する美しさがあるのかもしれませんね。